act 23

コレはね、断じて、断じていやらしい目的なんかじゃないノヨ!
ただ、ただね、やっぱり恥ずかしいノ。だって、これ、乙女が見る様なものじゃないモノ。
でも、でもね、何となく、あいつの特別を手に入れるには、コレしかないって思ったノ。
だから、ちょっと銀ちゃんから借りて来ちゃった。銀ちゃん馬鹿だから、隠してるトコバレバレ!
てか、銀ちゃん変態アル。サイテーヨ。あっ、あたしも今見ようとしてるけど…。

大丈夫。今日は花火大会もあるから帰ってくるのは深夜だってザキが言ってたネ。
だから大丈夫。あたしがこんなDVD見てるなんて気付かれないヨ。
お風呂も入って、ご飯も済ませた。食堂のおばちゃんとは、もぅマブダチになったネ。
隊士は沖田の部屋なんかに絶対来ないの分かってるし、準備万端!

銀ちゃん愛用のヘッドステレオも、準備OK。

大丈夫、何本も見てれば、あたしにもそのテクが身に付くはずアル。
あぁぁぁ!何であたしこんな事してるアルカ?告白したのはアイツの方なのに…。
コレじゃあたしの方が好きで好きでたまらないみたいアル。
好きで好きでたまらないんだけどね。

だって、だってね、あいつと手を繋ぐと、手がね、離れたくない、離れたくないって叫ぶノ。
あいつに抱き締められると、体がね、幸せ、幸せって喜びに震えるノ。
あいつにキスされるとね、あたしが泣くノ。素直なあたしも、素直じゃない可愛くないあたしも、泣くノ。
嬉しい。大好きって泣くのヨ。
こんなあたしの乙女心を少しでもあいつが分かってくれるれば…。

あっ。そうそう、こんな事考えてる場合じゃない。
―――再生。

あぁぁ!やっぱり恥ずかしいアル!
何でこんな事出来るアルカ?あっ!首筋に顔埋めてるネ。コレってあの時のあいつみたい。
って事は、やっぱり、止まらなくなったって、そうゆう事?
めっさ恥ずかしいネ!でも、でも、今更だけど嬉しい…かも。
てかキスがいやらしいアル。てか二人とも素っ裸って恥ずかしくないアルカ?あたし絶対無理アル!
あぅ!既に見られてたアルヨ!きゃぁぁぁ、恥ずかしくて死にそうアル。

何でこんな恥ずかしい事出来るアルカ?
てか、そこの女ァァ、何してるアル!く、口に!モザイクの向こう側は一体どんな世界が広がってるアルカ!
見たいような見たくない様な。てかこの音が、音がァァ。いやらしくてたまらないアル。何でこんな音でるアルカ?てか男ォォ!何処に顔埋めてるネ!えっ?なに?何でそんなに気持ち良さそうアル。
ちっとも分からないアルヨ!てか、この女乳がでかいアル。あたしの何て…。あぁ駄目。可哀想な胸に思わず涙が出てきそうアル。でも、あたしは美乳ネ。乳はデカさじゃなくて、形アルヨ!

でも、こんなんだったら銀ちゃんが寝ぼけて揉んだ時に怒るんじゃなくて揉ませとけば良かったアル。
たしか姉御が言ってネ。乳は揉めばでかくなるって!
でも、銀ちゃんしつっこいネ。手を払っても払っても寝ぼけて触ってくるし、一体キャバクラの姉ちゃんと何の遊びしてるアルカ。サイテーヨ。

ぁあ!又違うとこに意識が行ってたアル。
ぅお!コレ。コレヨ!何処に入れてるアルカ!ちっとも分からないアル!

あぁあぁ!気になるネ!モザイクが邪魔アル!
てか、何でこんな事するアルカ?女も男も獣みたい、あっ。違う、けだものみたいネ。

「じゃあ、俺とけだものごっこでもするか?」

あっ、それいいアル。やっぱり自分で実際体験するのが―――。
ふへっ?

「っき、キャァァァァ!!」

....
「ななななな!!」
言葉を話す。そんな単純で簡単な事が出来なくなったのは、神楽。
更に不運な事に、あまりにも後ろを振り返った事で、ヘッドステレオの線はテレビから抜け、音が漏れる。
しかし今の神楽にはそんな余裕もない程、口をぱくぱくと今もしている。声を出したいが出せないらしい。
そんな神楽を沖田は微笑み、組み伏せた。流れる様な一連の動作に神楽はなすがままだったが、急に意識をこちら側に戻し、暴れる。

「ちょぉ、退くアル!何でお前此処に?今日は深夜までって…。」
言葉を出す間も暴れては見るが、容易く沖田に捕まえられる。手を封じられ、神楽の顔は見る見る紅潮していく。
恥ずかしいらしく、思わず泣きそうな表情になってきた。そんな神楽を、あまり表情のない沖田が上から見下ろす。

「お前っッ!一体…。」
「お前声駄々漏れ。」
沖田の言葉に神楽は、更に顔を赤らめる。
「さ、最初から聞いてたアルカ?!」
「いや、乳がどうのこうのって所から。」
「乳!?い、いやぁぁぁ!マジでかァ!?」

神楽は首を大きくぶんぶんと振り再度暴れるが、神楽の腹の上に沖田が乗っているため、全く動かない。
「てか、旦那に乳揉んで欲しいとか何?つーか、そんなにおめーら一緒に寝てんの?いつも乳触らせてるって事かよ。」

電気の明かりの下。沖田の顔が眩しくて見えずらい。目を逸らす。刹那、大きな手の感触が、間違いなく自分の胸の上にTシャツ越しに這わされたのが分かり、目を見開いた。
そして真正面を向くと、鼻先に沖田の顔があるのに気付く。近づく事で、はっきりと見えた沖田の顔は明らかに不機嫌さを物語っていた。
神楽は、汗臭さが鼻を刺激する事と、顔が近くにある事で、本当に沖田が此処にいると今更ながら認識し、
焦る。焦る。焦る。そして次の瞬間、口を思わず開かなければいけない状況に陥る。

「ひゃぁ!ちょッっ、沖田ァっ!何処っッ…。」
切なげな声を神楽はあげる。沖田がTシャツ越しに突起を引っかいたのだ。必死に神楽は隠そうとするが、沖田の左手一本で貼り付けにされた自分の手。首だけを抵抗させるように振った。

「テメーいつもどんな格好で家でいるんでィ。まさか同じような格好じゃねェよなァ。」
ひゅっと神楽は息を吸い込む。今日は深夜まで帰ってこないと言う事で、ついついいつもの様にノーブラ。
更に言えば銀時の大きな服をDVDと一緒に取ってき、短いワンピースの様に着こなしていた。
当然何も下は履いていない。暴れたおかげで銀時の服は太股ぎりぎりまで捲れ上がっている。そのどれもに神楽の心臓ははやく打ち付ける。

耳の側から流れる、3流AV女優の声を沖田は乱暴にリモコンで消し、そのリモコンを壁にへと投げつけた。
壁に激突したリモコンは、電池の部分の蓋が外れ、電池が二本、バラバラと転げた。神楽はその一連の行動を見る。嫌な汗が背中を伝った。
沖田のその行動が、確実に怒りを表してるものだと神楽は認識し、急にフラッシュバックの様に、『あの時の沖田』を思い出し、体を震わせたのだった…。

...
自分の腹にかかる体重、逃げれない恐怖。神楽は目をぎゅっと瞑った。耐え切れず体は震う。
鼻の奥がツンとする。鼻をスンを鳴らす。瞑っている目尻から涙が伝った。

その目尻の涙を沖田が親指で拭う。
その感触に、神楽はゆっくりと目を開けた。瞼の内側に溜めていた涙がポロポロと流れた。
「泣くんじゃねぇや。」
神楽は、潤ませた瞳のまま沖田の方を見上げ、小さくコクンと頷いた。
沖田はそのまま神楽の上に被さるように唇を落として来た。無意識に神楽は顎を上げた。そして重ねた。軽く、そっと。離れた。
すぐ側に沖田の顔がある。神楽は首筋に手を絡め、そのまま引いた。そしてぎゅっと抱き締めた。
儚く、まだ震える唇を動かす。
「こ、恐かった。恐かったアル。あんなお前やーヨ。」
抱きつかれた耳元で儚げに聞こえた声に、沖田は感情を揺さぶられる。神楽の首筋に落ちたまま、その筋へと舌を這わす。神楽の体はピクリとした。神楽は首に回した腕を緩め、パタリと畳に流した。沖田は神楽の横に両肘を突く。今度こそ鼻先、触れる唇。ついばむ様に触れて、離れて、触れて、離れて。



幸せで、幸せで、たまらなくて、お腹の下がきゅって疼いた。むずむずして、ゾクゾクするものが、体の血液から巡ってきた。一瞬で鳥肌がたった。絡まった舌先の温度が感触がどうしようもなく気持ちいい。
あぁ、もうあたし、頭がパーンってなる。何も考えられなくなる。重ねて、触れて、溶けて、この先に続くものを見たい…。ねェ、お前と一緒なら、この先だって…。

「所でお前、何してたんだ?」
口は半開き、目はトロンと溶けそう。体中から火照った熱があふれ出た。準備なんてとっくに万端。
そんな雰囲気を沖田がぶち壊した。神楽は唖然となる。この切り替えの早さに脱帽さえしていた。そして、言葉の意図を理解すると、別の意味で顔が火照った。神楽は重なるあられもないDVDに目を向ける。

「キャァァァ!!」
本日二度目の叫び声を発しながら、上に乗っている沖田を突き飛ばした。
沖田は吹っ飛ぶ。それも豪快に。勢いで壁に頭を打ち付ける。悶絶する。そんな事など全く頭に入ってないように、カサカサと神楽は四つんばで這い、DVDを抱えた。あまりに強く抱えた所為で、何枚かのDVDから鳴き声と共にメキッとシなる音が聞こえたが、神楽はそれを無視した。

沖田は頭を抱えながら、神楽の元へと来る。神楽は抱き込むように隠す。頭を下に沖田とは目を合わせようとしない。沖田は噴きそうになるのを必死で堪えながら、意図も簡単にテレビを付けた。
すると、再び3流女優の顔が別のシーンからスタートしていた。神楽は思い切り顔をあげる。わなわなと口を震わせ、急いでテレビを消す。笑いを必死に堪えながら沖田はテレビを付けた。

「ぅわあぁぁぁぁ!!もう駄目アルぅぅ!!」
神楽はテレビの前に座り大きく手を広げる。神楽の後方からはしたない喘ぎ声が漏れる。
神楽は唇を噛みながら振り向きテレビを消す。そしてすぐに正面を向く。

「痴漢モノ。コスプレモノ…。旦那も好きですねェ。」
神楽によって放置された大量のDVDを沖田は手に取っていた。ちらちらと神楽を見ながらほくそ笑む。
「んで?テメーが見てたのは…。こりゃ笑えらァ。調教モンってか?」
神楽は全て終わった。もう駄目だという様に首を項垂らさし、両手で顔を覆い崩れる様に寝転んだ。沖田に背を向けて…。


……To Be Continued…

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