act 10

「近藤さん…ありゃァ、一体ェ何してるんですかィ?」
白飯を大口でかっ込み、目の前に座っている近藤にと沖田は聞く。しかしその視線は、食堂内をくるくると動きまわる女の子へと注がれている。
近藤はと言うと、そんな総悟の視線に気付く事もなく、平然と口を開いた。

「チャイナさんか?タダで泊ぁらして貰ってはどうも気になるってんで、ちゃんとした形式で働いてもらうようにしたんだ。なぁに、してもらう事って言っても、食事の配膳や片付け。隊員の洗濯、身の回りの世話なんかの、そうたいして難しくもない事ばかりだ。チャイナさん、お金をスリに盗まれた事もあるし、丁度いいだろう」

ガハハハと豪快に笑う近藤を他所に、ふーんとだけ答えて、やはり視線は神楽に向けたままだ。
隊員たちの配膳を笑顔を向けてする。イラっとした気持ちが一瞬自分の感情を占めるが、気づかないふりを決め込んだ
視線を避け、反対方向を向けて、朝飯を早々に済ます。食べた食器を下げ様とする所で、お盆に伸びる白い手が見えた
伏せてた視線を、反射的に上げると、目の前の蒼い瞳とかち合った

「あ…私が下げとくアル…」

一瞬目を丸くしたのは神楽だ。そして、すぐに目をキョロキョロとさせた
動揺しているのは沖田も同じらしく、一言、「あぁ…」とだけ言うだけだった。

一瞬気まずい雰囲気が流れたが、そそくさと食器を持って行く神楽の背を見届け、沖田も背を向けて歩き出した
...

顔がちょっと熱くて、少しいじいじって、前髪を直した。ちょっとドキドキして、こんな気持ちなんでアイツなんかにって考えた。
でも考える事さえ恥ずかしくて、目を一回ぎゅって瞑って、パッパって瞬きして、目の前の仕事に向った…
でも、食器下げながら、なんだかあいつの顔ばっか頭に浮かんでくるノヨ。あぁもう!何で…。別に今までナンともなかったのに…。
うん?アレ…今まで平気だったっけ?いつからだった?

こんなにドキドキしてたの…?

考えれば考えれる程、行き着く先の感情の名前が出てきそうになって、思わず首を振った
違う!違う!絶対、ぜっっったいにありえないヨ!

思いつめた様に眉間に皺寄せたり、驚くように首を振ったり、忙しなく変わる表情に自分自身翻弄されながら、目の前の仕事を必死にこなしていった

....
手に取った、そのモノ。私にとって、キラキラひかる宝物
こんなモノ着るなんて、とってもドキドキするの

何でこんなモン着るのかって?

あたしはあたしなりに、ココで何か喜ばれる事が出来ないかって探したのヨ。勿論食堂のおばちゃんの手伝いもしたし、屯所内の掃除だって頑張ってやった。それでも時間があったからグルグル回ってた。障子の向こう側、時折開いてるその部屋は、さすが男の部屋って感じで、きったねェ〜なんて思ってて、でもそれは今度掃除してやるかって思ってとりあえずスルー。

そんで外見たのヨ。そしたらあったノ。
私にも出来る事!!
まず、屯所の倉庫たる物は何処にあるかとザキに聞いた。そんで場所を教えてもらって、そっから引っ張り出した長〜いホース。

蛇口にひっつけて、水出して、ぶっ掛けた。そこでスポンジと泡がないのに気付いて、
慌てて、食堂のおばちゃんに新品のスポンジ貰って、車洗うために洗剤もらったノ。
おばちゃんは、車様の洗剤とスポンジじゃないよって笑ってたけど、そんなのイイノヨ!!ようは気持ち!

急いでもう一度戻って、バケツの中に洗剤注入ぅぅ。そんでわしゃわしゃ泡立てて、スポンジ突っ込んで…。
そしたらもくもくと泡が大量に膨れ上がってきたノ。そんでテンション上がって、キャッホーイなんていいながら、優しく車を洗ったノヨ。
そしたら、こいつ等いつから車洗ってねェの?ってくらい汚れてて、でも、だから洗いがいもあって。必死で洗った。

だから、服がビッショリになってる事気付かなくて、さすがにまずいかなって思って、そしたら食堂のおばちゃんがわざわざ見に来てくれてて、
あたしの格好みたら、ちょっとおいでって。

ピンクで可愛いの!でもちょっと恥ずかしくて…。あいつが見たらって考えたら真ん中のハートがドキドキした
顔も知らない間に赤くなってて、でも、目の前の…すっごく可愛くて。着替えた。そんで鏡の前で見たノ。
思わず顔がにやけた。込み上げてくる笑いを鏡の中の自分が必死で掌で隠して…。

でもやっぱりちょっと恥ずかしいから、Tシャツを羽織って外に出て、又洗ってたら、びしょ濡れになって…
んもぅ!もぅいいや!!って。Tシャツ脱いでみたら、自分に当たる水が気持ちよくて、思わず笑顔になった
だって、私夜兔だから、泳げないし、でも、ココなら暑かったら休めばいいし…。

ホースから伸びる水が車に当たって、跳ね返って水着に当たる
それがとっても気持ちよくて…。
楽しくって!楽し過ぎて…夢中であたし、くるま洗うのそっちのけで、水の感触楽しんだ…

あとちょっとで、あいつらが仕事から帰ってきて、鉢合わせになるなんて知らないでネ…。

....


車…ぴかぴかになったヨ…
私もびっしょりになったけど…。



たった一台だけど、その車だけぴかぴかになったノ。そんで達成感にひったてたら、車のエンジン音が聞こえてきた。
やばっ!戻ってきたと思って。さすがにこの格好はやっぱり恥ずかしくて、わたわた服着ようとしたけど
Tシャツもびしょ濡れだからくっついて、全っ然着れないノヨ!

あせって、あわわわってなって、思わず車に隠れたトコでパトカーが帰って来た。
そしたらネ、乗ってるのが…何でよりに寄ってあいつ等…
いや、いつも大体3人で乗ってる事多いから…でも他の隊員だったらまだ良かったのに
何で…何で本当にアイツが乗ってるネ…


「おぉ!何だ?車が新車みたいじゃないか!」
ゴリが車から降りてまず言ったノ。ふふんそうデショ?だって頑張ったモノ。

「確かに凄げェな。誰だ?うちの屯所にこんな気が聞く奴居たか…?」
トッシー!そこ突っ込まなくていいから、早く行くヨロシ!
てか早く行ってよぅぅ!

車の死角に隠れてて、覗くように三人を見る神楽…

「さぁ、でも今さっきまで誰かがやってたようですぜィ。水も出しっぱなしでさぁ」
うぉぉ!水止めるの忘れたアル!てか、何でもいいから早く…

「ちゃ、チャイナさん!?何してるんですか?ってかその格好…」

しゃがんでた体制を、思わずピンって伸ばした。そしたら車からひょっこり、さくら色の頭が現れた
だって、前にはあいつ等…。後ろから車の様子を見に来たザキ…。絶対絶命…。

「うぉぉ!コレはその…」
ザキに説明しようとして、でもパニくって出来なくて、ザキは顔真っ赤にして目をキョロキョロさせて
そうこうしてると、気付いた三人が…ゴリなんか
「いや〜チャイナさんだったのかァ。すまないなァ」
なんて超ご機嫌で側に寄ってきた

「き、来ちゃダメェェ!」
思わず叫んだけど…叫んだけど…。




……To Be Continued…

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