act 8

安定モードになっていた部屋を、新八の言葉で切り目を入れた

「あっ。でも神楽ちゃん・・家、今は生活できないんでしょ?かといって、今お金ないし・・銀さん、神楽ちゃん、こっちに連れてこればどうでしょう?
仕事の合間は休んでたら・・」

「あぁ?!寝る時、皆まとめて一室だし、野郎ばっかナンだぞ・・いくらなんでも無理だろうが・・・・」
「いつもあんたら一緒に寝てるでしょうが」
冷たい新八のツッコミが、部屋の中を凍りつけにした
近藤、土方、沖田、山崎は、唖然として固まる

「あぁ?神楽が寝ぼけて布団に入ってくるんだよ」
面倒くさそうに言う銀時に、噛み付いたのはいつもの調子に戻った神楽だった

「んな。銀ちゃんだって抱きついてくるアル。」
「んなの意識ねェんだから仕方ねぇだろ、大目に見とけ!」
「僕が銀さん起しに行くと、よく二人が絡まって寝てるじゃないですか!初めて見たときに情事の後かと思って固まりましたよ」

「銀ちゃんなんか、よくキャバクラのねーちゃんの名前呼びながら、胸揉むアルヨ。サイテーアル。」
「てことは何か?起きた時に顔が変形してるのは、神楽の所為か?!」
「てか、気付いた時点で一緒に寝るのやめろよ、オメーら。不純性行為だよ。」

「「面倒くさい」」

「オイ!!」
神楽と銀時の声が携帯のこっち側とあっち側で重なる。その声に新八がツッコンだ

「あれ?もしかして、銀さんと新八と普通に話せてるって事は、ももももしかして、そっちもスピーカーになってるんですか?」
冷や汗を掻いている銀時が容易に想像できる

「えええええ!!??もしかして、面子揃ってるの?」
「何か?そっちもしかして、もしかするんじゃ・・・」
携帯の向こう側、動揺に動揺を重ねた二人の声が被さる。神楽は意味も分からずきょとんと話す

「え?皆って、マヨと、ジミーと、ゴリと・・」

「後、俺も居やすぜィ」

銀時の携帯のスピーカーから聞こえた、アノ声・・・

「ヒィィィ!!!ヤバイ。ヤバイですよ!!僕ら確実に殺されます」
「ななな何言ってんの??さささっきの話鵜呑みにしちゃってる?やだな〜嘘に決まってんじゃン」

「何が嘘アルカ。飲みに言って酔っ払って、抱きついたり、ちゅ〜をねだるのなんて、よくある事アル」

「ば、馬鹿!!余計な事を話すんじゃねェ!!俺ァまだ死にたくねーよ!!」
こちらのスピーカー音。嘘だよぅぅ・・嘘だからァァとしきりに聞こえる銀時の弁解

自覚してないのは当人同士のみ・・。
土方同様、銀時と新八も、その危うい二人の関係性を気付いていた


「旦那ァ。帰ってくるの楽しみにしてやすぜィ。後、チャイナはうちで預かるんで、そっちには行かせやせんぜ」

沖田のこの一言に、沖田を除く4人はエッ?と目を丸くした
その沖田の言葉を素直に飲み込むは銀時。
「どどどうぞ、どうぞ。か、神楽ぁ、よかったなぁ。宜しく頼むぜ!!じゃ」

プツ・・・・・・。
一方的に、逃げるように切られた携帯
一瞬神楽が、『なっ!!』と声を上げたときには、既に遅く通信は切られていた
その後、神楽は再度土方の携帯で銀時に発信してみるが、帰ってくるのは、『お客様の・・・』で知られるお約束の言葉だけが流された・・・

...

「何でよりによって、ココアルか?もっとマシな場所があるダロ?」

不服そうに、頬を膨らませる。あの電話での直後。神楽は何も無かったように、サヨナラ〜と出て行こうとした所を、沖田に肩をぐわしと掴まれ、今の状況に至る

もう夜も遅い。荷物は明日取りに帰るとして・・と部屋に案内された場所・・・

真ん中を神楽に、手前が沖田の部屋、奥が土方の部屋となって、言うまでも無く、挟まれた状態になっていた
この部屋の他には、隊長クラスではなく、隊士クラスの部屋にはさまれる事になると近藤はいい、言うまでも無く、それを聞いた沖田が、自分の隣でと決定させた

冗談じゃないアル・・!!
あの沖田の隣・・・少なくとも今日襲われた相手の隣に寝られるかと嫌がった
しかし、沖田の有無を言わせない表情に、思わずグッと言葉を飲み込んだ
誰の所為で・・そう思ったが・・行く所が無いもの事実・・・仕方なく了承する

「はぁぁぁ・・・今日は・・色々疲れたアル・・」

布団を敷いて、枕に顔を突っ伏している。手足をだらりとさせ、力なく体を布団に預ける
思わず犯罪に手を染めようとした事・・それを沖田に知られてしまった事・・
そして、沖田に襲われかけた事・・全部銀時にばれてしまった事・・
泣いた事・・でもすっきりした事・・

そして・・銀時が帰ってくるまで・・ココで、この部屋で沖田達と生活を共にする事・・・

にわかには信じられない様な、今日の出来事

あの時、おそらく沖田でなければ自分は軽く逃げ切ることが出来たと思う
でも、逃げ切れてれば、自分はココには居られなかった。
捕まることがなければ、銀時に知られる事も無かった
でも捕まらなければ、わだかまりも解けぬまま、自分はあの男に身を売っていたかと思う
それ位の精神状態だった・・

ぐるぐるとそんな事を考え、最初は最悪だと思っていた、でも結果的にはコレで良かった・・心からそう思えた・・。
あの沖田との出来事は別件として・・。

そんな事を考えてると、ふと思いついたように、勢いよく飛び起きる
そして、そ〜と廊下にでると、近藤の部屋へと駆けていった
「ゴリ〜〜!!」
小気味よい声が近藤の部屋へと響く。一瞬近藤は目を丸くしたが、足を組み、堂々としてる様は、やはり新撰組の長であると改めて認識させられた

あのね、あのねとコソコソと近藤の側に行き、ごにょごにょと耳打ちする
すると近藤は、途端、声を上げて笑いだす。そして、そうかそうかと、足を組んでいる右膝をパンと叩く。
神楽は笑顔になり、近藤と共に部屋を出て行った

...

時間は午後10時を回っている。就寝時間のモノも居るが、まだまだ仕事についている者も居る
食堂の方は、おばちゃんは既に出払っており、帰ってきた隊士が何か食べれるようにと、作りおきをしていた。
その食事を、腹が減ったぁ〜などと今帰って来たばかりの隊士達が、取り分ける

なので、食堂は、遅い時間になったとしても、比較的いつも人の気配があった

そして、その隊士達が、食事を済ませ、着替えを持ち、歩いて行く
しかし、其処には近藤が仁王立ちをしていた

隊士達は、唖然とし、どうしたんですかと話しかける。出来れば早く風呂に入って、この汗臭い体を綺麗さっぱり洗い流したい・・と。そんな隊士達がわらわらと集まってくる。その中には、沖田、土方、山崎の顔も見える。

「近藤さん、どうしたんですかィ」
沖田が口を開く。別にいいにくい言葉でも無いんだが、近藤は言葉を濁らす

「風呂でも故障してんのか?」
そう言って、土方は、するりと近藤の横を抜け、中にはいろうとする

「ま、待て!実はな・・」
近藤が、言いかけた瞬間、中から暖簾(のれん)をくぐり、顔を見せたのは神楽だ・・・
「ゴリー!ありがとうアル〜やっとお風呂に入れたアルヨぅぅ」

男物の大きな短パン。大きなシャツ・・。どれも近藤のモノだ。
神楽は、どうしてもお風呂に入りたく、明日まで待てなかった。体がベタベタして気持ち悪くて、服も何でもいいからと近藤の服を借り、そして、入り口に長である近藤を立たせ、入浴をすませたのだった
さすがに近藤の短パンは大き過ぎるらしく、余りのある部分をゴムでキツク縛る
その大きな短パンからは、白く細い生足がスラリと伸びている

大き過ぎる近藤の服の所為で、大きく肩が露出しているが、我侭を言った手前、文句は言わない
今しがた湯船に浸かり、その体からは火照った湯気が出ている。
肌は白いながらも、所処ほんのりと淡く染まり、長い桃色の髪は濡れ、その先からは大きくなった雫が溜まりを見せた…。

……To Be Continued…

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