act 1

暗がりを歩いて行くと、穴場的な存在の一件の居酒屋が見えた。少し、中心部から離れていて、物静かな不陰気は落ち着いていた
2年ぶりに来る同窓会。高校を卒業して以来、仕事が忙しくて今までこれなかった
何回か、卒業後も、こうして皆で集まる機会がなかったとは言わない
でも、そのたび、自分で断ってたのだ。
「仕事が忙しいから・・・」
コレは、正直ただの言い訳に過ぎなかった。
あの日、あの事があってから、アイツに会う顔がなかったから・・・
2年前の卒業式の日の事を、もうずっと胸の奥にしまってたのに、同窓会だからだろうか。鮮明に思い出してきた


「お、沖田・・」
呼び止められた俺は、誰も居なくなった教室で名前を呼ばれ、後ろを向く。卒業式だと言うのに、今この教室には誰も居なく、俺とチャイナだけになっていた。今まで、幾度となくこのシチュエーションは体験してきた
卒業式の日だからこそ、いつもより告白される人数は多かったのだ
ただ、まさかチャイナに限ってとの思いも正直あるわけで

「わ、私・・沖田の事好きヨ・・」
体をモジモジとさせ、顔は赤く頬が染まっている。正直、この時は本当に、チャイナの事が友達としか見れなかったのだ

返事を待っているだろう、その目は、真っ直ぐ自分を見つめていた

「わりー。俺お前の事友達にしか見れネェ」

頭をかきながら、控えめに言った言葉だった。色恋よりも、友情をこんな形で壊したくなかったから・・・

「そ、そうカ・・分かったアル。ありがとうネ」

傷ついた顔をしているのを見て、友達としてしまったと思った
俯きながら、去っていくチャイナを見て、罪悪感を感じた
自分が守ろうとした友情は、その後簡単に壊れた
数日後、コレまで同様友達としていけたらと、チャイナに電話してみるが、繋がらなかった
あせった俺は、番号を知ってるものに電話を掛けたが、知らないという
携帯を変えたばかりで、まだ教えてないのだろうかと思う

一ケ月たった。もしかしたらケロっとした声で、携帯変えたよと、かかってくるかと思ったが、それは来なかった。
2ヶ月後、街でたまたま、志村姉と会った。チャイナの番号を知ってたら教えて欲しいと言ったが、妙は表情を曇らせた

「ゴメンナサイ。神楽ちゃんが、沖田君には言わないで欲しいって頼まれてて・・」

バツの悪い態度が出ていた。俺は、自分でも驚くくらいショックだった
今までずっと避けられていたのか・・。番号を変えたのも、本当は俺と切るつもりで・・?
妙は、ごめんねと立ち去り、街の真ん中で、俺は脚が動かなかったのを覚えている

半年後、警察官としての仕事は大分慣れてきて、その頃、同じ警察官志望だった
土方と近藤が、自分と同じ所管に配属されてきた

高校生の延長と言うわけには行かなかったが、少し自分の心が満たされてた
前触れもなく、チャイナの話題になった時は、心臓が飛び跳ねた

「チャイナ娘、どんどんきれいになっていくなぁ。高校出てから大学にいってるみたいだが俺ぁ、ビックリしたよ」

あいもかわらず、妙のストーカー行為を続けている近藤が、同じ大学内でチャイナを見かけたといったのだ。尚も近藤は続ける

「 雰囲気も、何となく変わったよなぁ、少しだけ子供っぽさが抜けて、色っぽくなったって言うか」
「近藤さん、その話はソレぐらいで・・」 
土方は沖田の方をチラと見、話す近藤を止めた

なんの事は無い、土方は知っていたのだ。知っているのは土方だけではない、近藤も。
ただ、半年もたって、振ったのは総悟だからとあまり気に留めてもいなかった

「知ってたんですかィ、皆」
あの日、教室が嫌に静かだったのは、コレでかと沖田は思う

「あぁ、チャイナ娘に皆、協力してくれってたのまれてたんだよ」
土方は、半年も前のことだし、まあいいかと話した

最後だから、今日しかないからと、皆に協力してもらって、誰も居ない教室を作り上げたのだ
その事は、もうすんだことだし、大して気にはならなかった。あのチャイナが変わってきている
想像が付かなかった。自分の中での神楽は、手と足が早く、すぐに喧嘩を吹っかけてくるやつ
綺麗と言われても、まあ容姿は、アノ頃から十分綺麗だった、気にも止めなかっただけで・・

一年たったある日、桃色頭を街で見かけた。言葉が出てこないと言うのはこうゆうことだと思った
アノ頃、桃色の髪を二つ頭にお団子をつけていたが、今はお団子なんかつけていなかった
一年間おそらく伸ばした髪、アノ頃より10センチほど長くなっていて、ふわふわと風が吹くたび
髪はゆれ、その髪を少し邪魔そうに耳に掛けるそぶりを見せた
化粧を覚えたのか、元もと綺麗な顔立ちを、更に格段に美しく見せていた

街を歩く男達は、神楽を見るなり振り返った。
当の神楽は気付くまでもなく、買い物を楽しんでいるようだ
私服姿はほとんど見たことがなかったが、一年間で、胸は少しふくらみをつけ、とても貧乳だととからかえなかった。淡いグリーンのミニのワンピースは、細く白く透き通る足をチラチラと見せ、体から伸びている手は、細く、ソコにあるだけで魅力的だ。
首の下にある鎖骨は、女としての神楽を十分意識させるものがあった

とても、声を掛けれなかった
足が前に出なかったのを覚えてる・・・



……To Be Continued…

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