act 8

「あれっ?何処行ったアルカ?」
神楽は、沖田等と逸れてしまった。はぐれる理由。それは沖田が一番最初に言っていた通りに、裏口から出るとともに、溢れんばかりの女子高生に囲まれ、それぞれが散らばりになって逃げたのだ。誰からもマークされてない神楽は比較的逃げやすかった。沖田も、自分の近くに居れば、人に揉みくちゃにされるからとあえて距離をとった。それでも神楽は沖田の場所を目で確認して来たのだが、とうとう分からなくなってしまったのだ。

神楽は、安堵のため息と、がっかりしたため息が一緒になって出た。沖田と一緒に文化祭を回りたかった・・・。がっかりしてても仕方ないと、教室に戻ると、比較的落ち着いてきた不陰気になっていた

「神楽ちゃん!ライブどうだった?」
「スッゴイ良かったアル!でも、今皆女子高生に追っかけ回されてるネ・・」
「ヤッパリ・・・。でも仕方ないッス。あんなに格好良かったんだもん」
「ねぇ。私たちだけでも楽しんだらどうかしら?多分、見つかっても、一緒に回れないと思うわ・・」

甘い声でミツバが言うと、そうだよね・・と同じ意見が重なる。ともなれば話は早い。先ほど、理事長からの成績発表が発表され、3zが断トツ一位だったの事。これで、食べ物は無料!!
言うが早く、4人は走り出す。手始めにたこ焼き、それからやきそば・お好み・クレープ屋・・・・・。
フリーパスをゲットし、悠々と食べ歩く。口をいっぱいにさせ、コレでもかと被りつく。途中、何度もナンパされたが、神楽とお妙、また子が噛み付き退散した。ただでさえ、気が立ってるのだ。神楽のツンデレも全く容赦が無い。自分の隣に居ない寂しさを紛らわすように、4人は無邪気に楽しく振舞った。自分たちだけでも、全然楽しいとでも言うように。

「お化け屋敷〜〜!!イエ〜イ☆」
キャっキャと入って、出てくる。


「てか・・女同士で入っても・・空しいよね・・」
「何か、余計寂しくなったス」
「テンション下がったアル〜」
「やっぱり、こうゆうのは、好きな人と二人できたいわよね・・」
ズドーンとさっきまでのテンションは何処吹く風で、とぼとぼと歩き出す。

「「「「一緒に・・回りたかったなぁ・・・」」」」

「うぅ〜ヤッパリ。探してくるアル!」
沈黙の中で口を開いたのは神楽だった。どんなに考えないようにしてても、やっぱり考えちゃう。やっぱり回りたい。一緒に楽しみたい。二人で居たい・・・
神楽の一言で、女は団結した。誰が会えて、誰が会えなくても恨みっこなし。一斉に駆け出した。



校舎を出て、そこら構わず走り回る。しかし、やっぱり人が多過ぎる。そう簡単には見つからない。校舎の中にもう一度入ってみる。人ごみを掻き分け、沖田を探す。
「オイっ!!」
振り返る。人ごみでガヤガヤしてる音の中、よく聞き取れなかったが、確かに自分に向けられた声。胸が高鳴り振り返る
「ちょっと顔かせよ」
神楽を呼んだ声の持ち主。それは、荒木を先頭に入れたA組の男達だった。荒木と、顔も知らない男。その男も又体格が良く、柔道部に所属している磯崎と言う男だった。その他にも、空手部、剣道と明らかに意識して集められた人だと思わせる。神楽は、何で又・・・と明らかに面倒くさそうな顔をした。自分はこんな事をしてる場合ではない。早く沖田を探しに行きたいのに・・・と。
仕方なく連れられ、機材や使われてない道具が押し込められている部屋に行く。薄暗い部屋に、パッと明かりがつく。どうでもいいから早くして欲しい。神楽はイライラとせかした。
「早く話すアル」
「おめー一位取ったからっていい気になってじゃねーぞ。」
荒木は、後ろの運動部が付いているからか、強気で行く。なんでこうも弱いやつは、後ろ盾が付くと人が変わったように強気になれるんだろうと神楽は感心した
「そんな事お前に言われる筋合いはないアル」
淡々と神楽は言い放つ。
「お前さ、約束した事ちゃんと覚えてる?」
そう磯崎は言うと、用紙を取り出した。それは、文化祭に置いての規定
{ライブに、プロの人を雇ったり、使ってはいけない
ライブに出る人の名前をきちんと提出し、又変更がある場合は、速やかに提出する事}
磯崎は、用紙をパンパンと指す。
一個目のプロの人。コレはギリギリセーフの筈だ。沖田らはプロではない。ただ二つ目の変更がある場合これはアウトだ。名前を変更していない。まずったと思う。下手すれば失格。
「とりあえず、お前だけでも専用メイド・・やってもらうぜ」
「はっ??お前馬鹿ダロ??」
この期に及んでまだこんな事を言ってるのかと、半ば呆れも入っている。神楽がそう言うが、磯崎の表情には余裕がある。
「別に強制はしねぇ。この事に気がついたのは俺らだけ。一日だけ専属で側で世話してもらえりゃそれでいいぜ。お前みたいな気の強いタイプを服従さすのって、凄げぇ興奮すんだよな」
「そんなの断るに決まってるダロ?馬鹿アルカ?」

「なら別にいいぜ。ただし。俺は今から理事長に言ってくる。今日は文化祭で来てるだろうからな。そんで3zは一位剥奪。2位の俺らが位上がりして一位を貰う。俺らの賭けはない者として、理事長からも一位になったモンは商品が与えられる。打ち上げの費用を負担してくれるんだ。もちろんそれは、実行委員から今頃クラスにもいきわたってると思うぜ。でも、コレでパァだな。お前のミスだ。」

神楽は愕然とした。沖田にうつつを抜かして、挙句折角取った一位を取られ、今頃皆で文化祭の終わった後の打ち上げの話を全部ぶち壊すことになる。神楽は突っ立ったまま、開いた口がふさがらない。

「どうだ。する気になったか?」
神楽の性格を、知ってるようにも思える。仲間意識が強い。荒木にでも聞いたのだろう。
「め、メイドって何すればいいアルカ?!」
磯崎はにやりと笑い、組んでいた腕を外し、神楽越しに壁に片手をついた

「別に、朝迎えに来て、身の回りの世話をして、絶対服従するだけ・・簡単だろ??」

薄笑いを浮かべる。なんて気持ち悪いと思う。沖田もよく薄笑い、口元を吊り上げて笑うが
こんなに気持ちが悪くは無い。自分の近くにある顔に引いた。、服従、服従とさっきから言っている。どうせろくでもない事を言われるのだが、自分ひとりで何とかなるならと、始めから神楽の答えは決まっていた

「分かった・・・何て返事するつもりじゃねーだろうなぁ」

神楽を含め、全員ばっと声のする方を振り返る
入り口の所に、沖田が立っていた。磯崎・・ではなく、荒木は苦味ばしった表情を一瞬させた。しかし、今は十分なうしろだてが付いている。出しゃばる事さえしないが、安堵の表情をみせ、沖田の視界から少しでも見えなくするように、体をちじこめた。ゆっくりと、コツ、コツと近づいて来る。いつから聞いていたのだろう・・神楽は思う。

「テメー誰でさぁ・・・」

沖田の眼光は鋭く磯崎に注がれた。磯崎は臆する事無く、沖田を睨みつける。沖田は知らなかったが、磯崎を含め他の者は、沖田を知っていた。色んな意味で有名だからだ。それゆえ、嫉妬心も深い。妬みも有り余る。腕っ節の強さも知っている。だが自分立ちも腕には自身がある。しかもこの人数。活きるには十分だった。

「磯崎ってんだ。沖田だろ?知ってんぜ・・」

沖田の表情は、変わらない。怒った様でも、なく無表情なのか・・・。

「とりあえず、コイツ連れて帰るから、ちっと待ってろや」

神楽の右腕に手を掛け、引っ張ろうとする。が、それは他の男が、更に神楽の腕を掴み失敗となる。それまで無表情だった沖田の表情が、がらりと変わる。左手で、その男の首元をねじ上げる、がたいは、沖田の方が細い。それでもこんな力が何処から出てくるのかと思うような力だった。苦しくて、男は、必死に沖田の手を退かそうとする。が力は収まらない。

「コイツに汚ねぇ手で触んじゃねぇ!!」

すぐさま男は手を離した。神楽も驚き沖田を見る。正直神楽は非力な女ではない。今の男一人くらい、軽くひとひねりだ。それでも正直嬉しかった。

……To Be Continued…

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