act 5

沖田らは、唖然と光景をみる。何がどうなっているのか
「コレでいいアルカ?」
神楽はすくっと立ち、荒木らを見かえす
「なんだろうなぁ。その態度がむかつくんだよ」
「全然悪いって風にはみえねぇモン」
「悪いと思ってるから、謝ったネ。その手の事に。」
「コレじゃあ、俺利き腕使えなくて困っちゃうんだけど」
「むぅ・・・・じゃどうすればイイアルか?」
自分の所為で、ライブは一からやり直し。謝ってすむならと神楽達は頭を下げたが、次から次にポンポンと出てくる意地の悪さに、イライラしていた。
「俺の右手になれよ」
「はぁぁ??無理アル。」
「じゃあ、どうしてくれんだよ」
「確かに神楽ちゃんが突っかかりそうになっての事だけど、貴方が自分で転んだんでしょう」 
お妙に痛いとこをつかれ、顔がカッと赤くなる。確かにそうだ。自分が転んだ。
「も、元々はてめーがなぁ!!」
恥ずかしさを、隠すように、荒木は、神楽に詰め寄り、肩をつかもうとする。それを容易く神楽は避ける。しかし、同じように神楽に詰め寄り、同じように神楽の肩に手をかけろうとした新橋の手が、神楽には死角になって見えてなく、モロに神楽の肩に入った。いつもならよろける程度のものだが、よろけた先に、床はなく、神楽の体は宙に浮き、舞台の上から放り投げ出された。思っても見なかったことで、神楽は不意を突かれ、体制を立て直すことが出来ない。思わずギュッと目をつぶり、体を硬くさせ、衝撃に供えた
しかし、いつまでたっても、痛みと衝撃は自分に来ることはなかった。ゆっくりと目を開けると、自分の体の上に絡まる、男の手、自分の体の下にある、人間の体。それらはピタリと自分にくっついて、まるでクッションのように、柔らかい。j状態を飲み込めない神楽は、自分の体の下に居るのは誰だとその体制のまま首を上に向け、確認する
「沖田・・」
今一瞬の事で汗をかいたのだろうかと神楽は思う。息をはずませ、額には、じっとりと汗ばんでいる様にも見える。上を見上げる神楽と目が合い、ふと目を逸らす。急に恥ずかしくなった神楽も顔を戻し、目を逸らした。そして、自分の体に纏わり付き、強い力で抱きしめられている腕を、退けようとするが、その腕の力は緩まなかった。まるで離さないとでも言うように。しかし、神楽が暴れだすと、観念したように手をするりと離した。神楽は、顔を真っ赤にして、身をそそくさと直し、沖田を睨む。この場合、感謝こそすれ、睨むというのは似合う行動ではなかったが、照れ隠しにそうすることしか出来なかった。けれど、睨んだ視線の先に沖田の視線はなく、その沖田の視線の先には、さきほど、神楽が飛ばされた原因の3人に激しく向けられていた
その視線に、神楽は何とも言えない感情にかられる。自分の事で腹を立てているのか?いや、こいつに限ってそんな事はありえない・・自分の中で、一人で葛藤する
「ココから落ちて、こいつの頭がもっと馬鹿になったら、どうしてくれるんでィ」
沖田から出てきた言葉は、けなし以外の何者でもなかった。神楽は思わず噛み付きそうになるが、その顔がいつもと違って、全く笑っていない事に気づくと、思わず声を引っ込めた。
沖田の視線は、痛いほど3人に突き刺さる。荒木らは、ココにどうしてこいつが出てくるんだと言う目で見ている。神楽たちに向けた冷ややかな目ではなく、少し怯える様な目だ。荒木らにしてみれば、完全な予定外だった。よくよく体育館を見れば、沖田の後方には、土方、高杉、近藤が、同じく射るような目をして、自分らを睨みつけている。3zのこの面子は、荒木らでは無くても存在は知られている。女には、顔が良く、熱いまなざしを向ける対象として。男からは畏怖の目で。3人はたじろいだ。
「こ、この女が・・・」
先ほどとは打って変わり、その表情、態度は弱弱しい。
「土下座までさせる様な事をしたって?」
3人は体をビクつかせる。低く、太い声。あれを見ていたのかと、やらせた事を後悔する。遊び半分でやらした自分たちを今更ながらバカヤロウと一喝したくなる気持ちだった。まさか、この面子に喧嘩を吹っかけるつもりも無い。沖田の目が、鋭く自分たちを見る。なんで睨まれているのが自分なのかと。怒らせるような事をしたのかと、空っぽの頭で考える。そして、ひとつの仮説にたどり着く。もしかして、二人は・・・と。そこまで考えると、さらに恐怖が加わる。後方の三人の自分たちに向けられる瞳。コレは、沖田と同じような理由だとしたら・・・・・・。

「「「す、すいませんでした・・・!!!」」」

凄い速さで舞台を駆け下り、それぞれに頭を下げて、逃げるように走っていく。その際、神楽は、頭を下げる人間が違うだろう・・・と思っていた。
沖田と視線があう。交わす言葉が見つけられなく、俯いた。その視線から、沖田の足が動くのが見えた。思わず視線を上げると、トコトコと沖田は舞台の上に上がっていく。そして、そこにあるギターを手に取り、何やら手で音を出しながら調整している。神楽は思わず自分も舞台に駆け上がり、沖田の様子を興味深く見る。その周りには、さっき神楽が落ちそうになってから、息が止まり、更に沖田が助けたことで、又驚いたお妙などの姿もある。
「何してるネ」
「ん〜?チューニングでさぁ」
そういいながら、沖田は、全然あってねぇじゃねーかと、更に調節する。すると、舞台の下にいた3人が上がって来て、同じように、楽器に触る。近藤は、ドラムの音をタンタンと鳴らし、土方、高杉は、ギターを取って、触る。それぞれ、お妙らは男のもとへ散らばる。興味深そうに、男の指の仕草をみる。何とも色っぽい・・と思う。
「キュイ〜〜ン」
沖田は、軽快に音を奏でる。指先は、凄まじく早く動き、その手つきに、思わずそれぞれが見とれる
同じ楽器で、こんなに出る音が違うものかと思う。さっきの男たちが奏でる物は一体なんだったのだろうか
と思わせるのには十分なクオリティの高さだった。まだ、真剣と言うより、久しぶりに触った感触に楽しんでいる様子を伺わせる。ひとつの音に、更にいくつもの音が重なる。声は発することは無く、自然に奏でられて行く音。そこにドラムを重ね、その音は、より深いものとなる。その音楽をただただ、神楽達は聞き惚れていた。
「な、なんでそんなに弾けるネ」
「あ〜。前に少しバンド組んでたから・・」
神楽に衝撃が走った。いや、神楽だけではない。経験者は無いと皆いってたのに・・。こいつらは経験所か、こんな腕を持っていながら・・・。わなわなと怒りを彷彿させる
「何で!!何で黙ってたアル??!」
神楽から、怒涛の言葉が出てくる。予想していた言葉が出てきた沖田は、頭の後ろをかきながら、話しづらそうに、言葉を濁す
「・・・・たから」
「ああん!!??聞こえねぇんだよ!!ブチ殺したろカ!!」
神楽の怒りが、沸騰直前のように、湧き上がる。確かに、仕方ないかも知れない。最初から名乗り出てれば
今までこんな不快な思いをしなくてもよかったし、もっと楽しく出来たのに・・。それは神楽だけではなく、お妙、ミツバ、また子、新八も同じ気持ちだった。その目で、自分の横に居る、男を鋭く睨む
「・・・誘いたかったから」
「何をだヨ!!意味分かるように説明するアル!!」
「だ〜〜〜。文化祭一緒にまわんねーかって、テメーを誘うつもりだったんでさぁ!!」
沖田が顔を真っ赤にさし、白状する。その顔につられ、神楽も真っ赤になる
「ななな・・どう関係アルネ」
「自惚れる訳じゃねーけど、歌った後、鬱陶しいくらいに女が寄ってきやがるんでィ。そんなんだったら
ゆっくり見て回ることが出来ねぇじゃねーか」
自分で言ってて、よほど恥ずかしかったらしい。そして、それを聞いた神楽は「あぅ・・・」と小さな声で
恥ずかしさを表している。そして、その思いは、お妙、ミツバ、また子の元へと伝染する。なぜなら
沖田と同じような様子で、隣の男は照れて、自分の方を見ていたから・・。何となく、舞台全体がラブラブな方に傾いていく中
「こいつ等、ウゼーーーーーー!!」 と発狂したのは、新八だった

……To Be Continued…

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