act 1

「ココはどうするアル?」
「ここはね〜」

放課後の教室。いつもは帰るクラスメイトも、ここ何日も居残りを決め込む
もうすぐ学校あげてのお祭。文化祭があるからだ。留学生の神楽にとっては、初めてで最後の文化祭だ。
楽しみで仕方ない。どんな些細な事でも楽しい、クラスメイトと何か一緒になって出来る事が神楽の楽しみであった。3Zの出し物は、お化け屋敷。色々お化けを作っていくのは、面白くてしょうがない。
色を塗り、おしゃべりしながら、すこしづつ完成していく。楽しみで仕方ない神楽だが、不機嫌になる事もしばしばあった。
「お前も少しは手伝ったりしろヨ」
「嫌でさぁ、面倒くせぇ」
「メンド・・!!そんな言い方ないアル。」
「何が面白いんでィ。俺には分かりやせんねぇ」
鞄を持ち、すたすたと教室を出る沖田。そんな沖田を、悔しいような、寂しいような。そんな気持ちでみる。
一緒に、この時間を過ごせたら、どんなに楽しいだろう。神楽は思うが、沖田は全く興味がないようで、教室から出ていく。下唇をかみ締め、すぐ切ないような瞳を見せたが、すぐに気を取り直し、準備に取り掛かる
「神楽ちゃん、ほっときなさいな。」
「そうっス。うちらだけでも頑張ったらいいんス!」
「神楽ちゃん、ごめんなさいね、総ちゃんが」
神楽の表情が良くないので、お妙、ミツバ、また子は、何とか気をあげようとする
思えば、文化祭の話が出たときから、乗り気ではなかった。アイマスクで目を隠し、眠りにふける。周りでガヤガヤと決める声が聞こえるが、そんなのはお構いないしだと、寝息を立てていた。
乗り気ではないのは、沖田をはじめ、土方、近藤、高杉もだった。話には参加しないのは勿論、放課後も手伝うという事は一切しない。沖田に気がある神楽は、何とか一緒に盛り上げて行きたかったが、それは敵わぬ夢であった。
<もう知らないネ。アイツは居ないものだとして楽しむアル>
看板、衣装。着実に準備は進んでいく。

確かに沖田の事をきにする余裕がないくらい昼休み、放課後、休み時間は忙しかった。
実行委員会に神楽がなっていたからであった。神楽の突っ込んだ性格と、冷静な新八を組ませたのだ
「新八ィ。クラス対抗ライブ・・あれどうなってるカ?」
「どうなってるもこうなってるも、全く出来ない人たちばかりだから、正直話にもならないよ・・。」
顔を曇らす原因のクラス対抗ライブとは、3年の全部で4クラスある中で、クラスごとに文化祭の午前中に
ライブをし、一番投票数が多かったクラスが勝ちと言うものである。
「てか、何なんですか?このライブ。もの凄いウチには向いていない物だと思うんですけど・・」
「私もそう思うアル。でも、売り言葉に買い言葉で乗ってしまったネ」
売り言葉に、買い言葉。クラス自体が常に奔放なZ組を妬んだ、他の教室の子たちが持ちかけた話であった。
当初、この話に乗る気は全くなかったのだが、銀八のヤレと言う一言で、実行委員会で決定した。
勿論、この組には、そういう類の生徒はいないと分かっていて賭けに出たのだ。
自由奔放。何故か顔がイイ奴がZ組にだけ集結している。全部面白くなかったのだろう。
文化祭と言う、大きな舞台で恥をかけばいいと、別のクラスの子達は笑った。

「歌は新八が歌うヨロシ」
「オイィイイ。何で僕が歌うんですか!無理ですよ!無理。」
「無理じゃないネ。行って来い新八!お前なら出来るネ。きっと!」
「出来るね、きっとじゃねぇよ!神楽ちゃんこそ歌えばいいじゃないですか」
「ライブで演歌熱唱してもイイアルか?」
「・・・・・・・・・・・・・」
「大体、歌のウマイ奴の一人や二人、居るはずネ。探してくるアル」
「そんなモン、当の昔に探して居なかったでしょ!」
「じゃあ、やっぱり新八で決まりネ。私よりはマシアル」
「フォローになってねぇよ・・。百歩譲って歌は僕が歌うとして、ギターとかドラムはどうするんですか?誰も弾けませんよ・・。他のクラスの子に頼むしか・・」
「うーん。楽器かぁ。じゃあ、私が借りて来るアル。あとそれと新八・・」
顔をあげて、何?と神楽に視線を向ける
「本当は、勝ち負けは関係ないネ。皆で楽しめたら・・それでイイアル!」
笑顔でそういうと、神楽は教室から出て行った。残された新八は、もの凄いプレッシャーを受けたような、何だか心があったまってくような気持ちに襲われ、頑張ろうかなと誰も居ない教室でつぶやくのが聞こえた



……To Be Continued…

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