1


***

近頃寄せられた情報によると、
大蛇丸が現れた。

目的は何なのか定かではないが、サクラとナルトを動かすにはその程度で良かった。

忍の里に所属するサクラとナルトは仲間であるサスケを追っていた。
そのサスケが里を去り、大蛇丸の下へと走ったのはもう何年も前だった。
サスケが里を去った理由は強さだった。

その為に仲間と里を捨てた。
それでも二人はサスケを捨てられなかった。
捨てたくなかった。

僅かな情報でも確かめずにいられず、里を守る火影に大蛇丸探しを頼み出た。
火影はカカシを隊長にサクラ、ナルト、ヒナタの四人で大蛇丸の痕跡を探すように命じた。

カカシはサクラ、ナルト、サスケの元よりの隊長で、先生。鋭い嗅覚を持つ犬を口寄せすることが出来た。
口寄せは契約した者の下へ瞬時に移動することが出来る術だ。

ヒナタは特殊な血統を持ち、その目は遠方を透視し、肉体に流れるチャクラを読み取ることが出来た。
その特殊な目を白眼と呼び、里が誇る目の一つだった。

嗅覚と視覚、二つの探知によって大蛇丸の痕跡は入念に調べられた。


分かった事は、
町外れにある遺跡に侵入した痕跡があること。
そして遺跡が荒らされ、戦闘があったこと。

遺跡の状態から既に付近には居ない可能性が高かったが、
町の中に手掛かりが残っていないか手分けをして探された。
遺跡から逃げた跡は既に消えていた。
遺跡内部そのものが水没していたのだ。

二人一組となり町の中を探したが、大蛇丸らしき人物、部下は発見できなかった。

その日、ナルトとヒナタが組んで怪しい場所を探していた。
それでもそれらしき人物は居らず、あからさまに怪しい事務所があっただけだった。
しかも探偵事務所と看板も怪しい。
新聞に載った事務所の広告を見て、ナルトは言った。

「ヒナタ、ここに行ってみようってばよ」

敵の罠だろうがなんだろうが、苛々していたナルトにとってはどうでも良かった。

「もしかしたら、探してもらえるかもしれないし」

ナルトは目的を見失いかけていた。

「で、でもナルト君。サスケ君の事を一般の人に言うわけにはいかないし」

ヒナタは伏せ目がちに人差し指をくっつけてナルトに言った。
くるりと首を回してナルトはヒナタを見た。
それに心臓が止まるような思いをするヒナタは顔を赤らめた。

「だよな〜。あー、もうどうすりゃ良いってばよ!」

黄色の髪を引っ掻きまわしてナルトはその場で叫んだ。
その時、近くで男の声がした。

「そういう時は、あまーい物食べて落ちつくんだ」

路上屋台の男はそう言ってナルトにリンゴ飴を見せた。

「おっちゃん! それ良いね! おっきいの二つ頂戴」

商売っ気のある声で屋台の男はナルトに応じた。
小さい種類のリンゴを甘く煮つけて砂糖で固めたリンゴ飴だが、
なるべく大きいリンゴを選んで男はナルトに渡し、料金を受け取った。

カエルの形をした財布を懐に仕舞い、
ナルトはヒナタにリンゴ飴を一つ手渡した。

「あ、ありがとう。ナルトく……ん」

手渡されたリンゴ飴にヒナタは昇天しそうだった。
のぼせるあまりに、そのまま倒れた。

[no back] | [next]
-home-
×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -