2
ヒナタが意識を取り戻したのは直ぐだった。
リンゴ飴屋台の直ぐ近く、木陰で寝かされていた。
隣でナルトがリンゴ飴を食べ終えた所だった。
「お、起きたか。ヒナタ」
飛び起きたヒナタは慌てて謝った。
また、ナルトの目の前で倒れてしまった。
ヒナタはのぼせてしまうと倒れてしまう、特にナルトに関係した事だと。
最近はそれも減っていたが、ナルトがリンゴ飴を手渡してくれただけでもヒナタにとっては大きな出来事だった。
「お前ってば、いっつも倒れるよな」
ナルトはヒナタが倒れた事で逆に冷静になっていた。
「別に良いけど。早く食っちまおうぜ」
ヒナタがしっかり握りしめているリンゴ飴を差してナルトは言った。
それに気付いたヒナタはナルトと同じ方向に座り直し、
リンゴ飴に掛けてある包装を大事に外した。
少しだけ溶けた飴はとても甘くて、甘くて、覚えていない。
ナルトは隣で二本目のリンゴ飴を頬張り、ヒナタに合わせた。
「本当に何処に居るんだろう、サスケ」
舌を出して飴を舐めとるナルトは空に浮かぶ雲を見上げて呟いた。
独白に近いそれに返事をすべきか、ヒナタが迷っている間にナルトは続けた。
「イタチが俺の尾獣を狙って来るまで、捕まんねぇのかな」
人通りの少ない路を風が吹き抜けた。
ヒナタは何も言えなくなった。
イタチはサスケの兄で、サスケが力を求めた原因だ。
そのイタチは戦争集団・暁の一員で、暁は尾獣を狙っている。
暁は今、なりを潜めているが、未だに活動しているのは確かだった。
ナルトの中には九尾と呼ばれる尾獣がいる。
いずれは暁の誰かがナルトを狙って襲ってくる、
その時にしかサスケと会えないのではないのかとナルトは諦めかけていた。
「そ、そんな事無いよ。きっとサスケ君は見つかるよ、私も手伝うから」
必死に声を絞り出してヒナタはナルトを勇気づけようとした。
それがヒナタに出来る唯一の事だった。
ヒナタが持つ白眼にも限界がある。
見える範囲など限られている。
今はナルトを元気づけられる物は何も見えなかった。
「そーだよな! 早く探して、捕まえちまおーぜ!」
笑ってリンゴ飴に齧りついてナルトは応えた。
ヒナタも必死になってリンゴ飴を齧り、急いで食べ終えた。
リンゴ飴の包みをコッソリと持ちかえって。
[back] | [next]