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もうそろそろやって来るだろうとサソリは予想していた。
面倒事だとデイダラもある意味覚悟していた。

暁の金庫番、財布の角都と半裸で額の広いジャシン信仰者の飛段。
暁という組織に所属する限り、二人が死なぬ限り会うことになる。
不死身コンビを自称する二人が死ぬとは思えないが。

それはデイダラがアルバイトのyouをからかっていた日の事。
サソリはアイスが食べたくなったので応接間のある一階に上がると、
デイダラとyouが仲良く話をしていた。
気取られぬように聞き耳を立てていると、

「you、お前サソリの旦那を最初に見た時どう思った?」

「オイラは『顔と口の悪いオッサン』だと思った、うん。
だって、見た目がアレだぜ、うん」

「私は何度かお二人が喫茶店に来ているころから知っていましたが、
まさかデイダラさんと一緒に来られている方が同一人物だとは思ってもいませんでした」

聞き捨てならぬ会話をしていた。
顔が悪いのは認めよう。あれはそういった傀儡だ。
だが、口が悪いだと?
黙って聞いていたサソリは腸が煮える思いがした。
煮えるはずの腸は既にないが、本人はいたって本気だった。

「そうだよな! 
オイラだって傀儡から出てくる所を見なきゃ分かんなかったぜ、うん。
声まで違うんだからな、うん」

サソリは今し方階段を上がってきたような足取りで姿を見せた、
しかしその目は確かに会話を聞いていたと物語っていた。

「しかも、サソリの旦那は……」

サソリの姿を見せるとデイダラは顔色を変えた。
デイダラの様子に気付いたyouはサソリを振り返らず、
立ち上がった。

「……お茶を淹れてきます」

静かにそれだけを言い残して逃げ出した。
それを追うようにデイダラも腰を浮かせたが、
サソリは傀儡を動かす時に利用するチャクラの糸を素早くデイダラの足に付け、
足を止めさせた。

「ちょっ、you待て!
一人だけ逃げるんじゃねェ、うん!」

走り出そうとしたデイダラの足音が途中で止まった。
代わりにyouの足音が加速する。

「誰が『顔と口の悪いオッサン』だ?
言ってみろ、デイダラ」

サソリは片手のチャクラ糸でデイダラの自由を奪い、
平常となんら変わらぬ表情で睨みつけた。
そして残った手で自分の服に手を掛けて、今にも脱がんとしていた。

「ちょっ、旦那。こんな所で脱ぐ気かよ、うん。
そんなに簡単に正体バラしていいのかよ、うん」

デイダラは必死に抵抗した。
サソリのチャクラ糸は両手の平の口さえも閉ざしている。
持っている粘土にも手が届かない。

「それもそうだな」

デイダラの必死の抵抗にサソリは服に掛けていた手を下ろした。
それに伴って外に面している窓と扉が閉ざされ、カーテンが引かれた。
最後にyouが出て行った扉が閉ざされ、鍵がかけられた。

「これで外に漏れる事は無い」

サソリとデイダラの顔に影が降りた。

響くデイダラの悲鳴にyouの声が重なった。

「今日は新しい茶葉が入ったんです!!」


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