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折角、携帯小説なんだから
簡単に更新ができるのだから
何か連載物を書きたいなぁと常々思っていたのですが、
実現できずに三周年手前。

先日二次創作なるものをやっとこさしまして、
「もしかしたら出来るかも」等という妄想に駆られましたのでやれるだけやってみようかと思います。


ともかく、
NARUTOパロディ連載始めました。


***

康安十年。
以前の世代から比べると急激に、しかも大規模に生活環境が変化した。
それまでの生命、主に人から発せられるチャクラを基本とした文化が一変したのが原因だ。
生物が発するチャクラを利用し生活と言わず戦場に利用していたが、ある発見からチャクラの利用方法が覆された。
発見とはチャクラを物質に保存し、定量だけ取り出し続ける事を可能にした技術だった。
生物が発するチャクラを他の物質に保存することで、常に人を必要とした作業の一部をチャクラを保存した物質が代行する事が出来るようになった。

雷の国から発表されたことから、物質に保存されたチャクラ、それは電気と命名された。

電気は生活に大きな力を与えた。
生物が発するチャクラは、無意識下で微少量の発散吸収がなされていたが鍛錬もない一般人では殆ど利用できなかった。
そのチャクラを自在に扱う者を、鍛練に耐える者として忍と呼んでいた、しかしチャクラ保存の技術が向上する事によりその存在は忍ぶ者となった。

電気の技術は発見当初より世界に公表され国の境なく利用され、躍進した。
人を人が殺し合う忍び同士の戦争はやがて影を潜め、念願の平和が訪れた。
と、されている。


しかし、目の前には平和の象徴となった電気の技術を搭載した自動車がバイト先の店先に頭から突っ込んでいる。
未だ人力車や自転車の方が早いと評される自動車だが、搭載してある電気の量や大きさによっては移動に役立つ代物として一般に普及しつつある。
自分のチャクラさえコントロールできない一般人にも扱える電気は便利だが、その反面利用方法を誤れば危険間違いなし。
以前の時代を知る世代に言わせれば忍の戦いはもっと酷かったそうだが、その時代を知らない世代の私にとっては今も酷い。

人力車から人を省いて、車輪を四つに増やして電気を搭載したのが自動車だけれど、値が張る割には動きが悪いし電気の量が一定していないと暴走して何処かにぶつかるか電気が無くなるまで突っ走る。
中々凶悪な乗り物である。

それに対して最大の発見だとされたのが、電話。
遠くあっても電話同士を繋いでいる電話線のおかげで、瞬時に電話を通して会話ができる。
糸電話の要領だと思っているが少し違うらしい。
電話が出来るまでは人や伝書鳩を使って連絡を取り合っていた。
それは未だ残っている。
遠くの電話と繋げるといっても限度があるので長距離となると飛脚が走るし、鳥が飛ぶ。

今回はその必要はなく、何度も利用した電話の番号を回して連絡を取る。

「もしもし、保安管理所でしょうか? 蓮華横丁の小春茶屋です。また自動車が店に突っ込んで来ましたので、事故処理をお願いします」

幾つかの質問に答えてから受話器を置いた。
こんな事に慣れたくなかった。
店に自動車が突っ込んできたのはバイトを始めてから七度目で、その度に店長は自動車に乗った人を救助し、私は電話を保安管理所に連絡をする。
保安管理所は主に電気に関連した事故や問題を管理、処理している所で何度も自動車が突っ込んでくるこの店に困っている。
保安管理所以上に私達の方が困っている。
何度も自動車が突っ込んでくるものだから店は新しいのか古いのか分からない、それにバイトはいくら募集しても直ぐに止めてしまう。
今ではバイトは私だけになり、次に自動車が突っ込んできたら店を畳むとまで店長は言っていた。

「店長、管理所に電話しました」

「youちゃん、いつも有難うね」

事故を起こした人を自動車から担ぎ出し、長椅子に寝かせた店長が苦い顔をして溜息をついた。
本当にこの店を畳む気なのだろうか。
それはすごく困る。
この店のバイト代は自動車がしばしば突っ込んでくる以外、他の同じ条件の店より高い。
破格に。
そのバイト代で生活をしている私にとってはかなりの痛手なのだ。
他のバイトをしなくても毎日三食、お昼は賄いを食べられるし、余分な物を買わなければ貯金に回す余裕もある。
自由な時間も多く取れるし、特に不自由ないこの生活を失うのは精神的に辛い。
次の仕事も探さなければならないとなると、今までの浪費癖が災いするだろう。

店長も頭を抱えているが、私も同じ様に抱えてしまう。

「店長、お店畳むの止めましょうよ」

「うん。そうしたいのは山々なんだけど、また自動車が突っ込んでくるんじゃないかと思うと枕を高くして眠れないんだ」

目の周りにクッキリと隈を描いた店長へそれ以上の説得は出来なかった。
いつもの保安管理官が来て、自動車が運び出され、事故の当事者が病院に連れて行かれ、長い沈黙が落ちる。
常連のお客は自動車が入ってくる位置を読んでいて、事故処理中も優雅にお茶を啜っていた。
その音だけが続いている。
それも終わると席を立ち、会計を済ませて空いたばかりの近道を通って店を出た。

「有難うございました」

「あの人で最後だね? もう店仕舞いをしようか、本当に」

嬉しいのか悲しいのか分からない涙を溜めて店長は零した。
私は店の片付けをして、その日大きな給料袋を受け取って店を出た。

事故の当事者から定期的に支払いがあるからお金の事は心配ないと思う、店長がこれ以上不眠に悩まされないのは良い事だ。
でも、私はあの店で働けることが楽しかったのは確かだ。

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