10/10/02〜10/11/04
バジル・ホーキンス

依存症



「ホーキンス船長って“占い”依存症ですよね」
 甲板の椅子に腰掛け、ペタペタといつものカード占いをしているホーキンス船長の横に座り込み、カードを見上げてみる。覗き込んだところで、意味不明なカードの羅列にしか見えないのだけど。
「……占っているのではない。可能性を出している」
「それを“占う”って云うんじゃないですかね」
 “ナントカ率”を出してからじゃないと動かない船長――それでも全然好きだけど、それを出すまでがとても暇です。
「せーんちょー……つまーんないんですけど〜」
「…………」
 構って下さいよ〜と声を上げても反応してくれない。いつになく集中している模様だから、何の事にそんなに集中しているのか気になった。
 すると最後の一枚だったのか、藁の先にカードを貼り終えたホーキンス船長が息を吐く。
「“何率”を出していたんですか?」
「……」
 船長は指先で目の前のカードを指しながら何やら呟くと、そのカードを見つめたまま口を開いた。
「おれとお前の『恋愛』、成就率……」
「……そんなの出してどうするんですか」
 肩をすくめた私の言葉も気にせず、“結果”は出される。
「――100%」
 嬉しいのかそうでないのか、表情をまるで変えないホーキンス船長だけれど、私はとりあえず立ち上がって、後ろから抱き付いてみた。
「当たり前でしょう。ずっと前から大好きですよ、ホーキンス船長」
 それでも動じない船長も、ほんの少し、ほんの少しだけ口元が上がっているのに気付いて、胸がドキドキした。
「次は『初夜』の成功率でも出すとしよう」
「それはやめましょ……」
 魔術師が占いに依存しているのは、もしかして奥手だからなのかもしれない――と、バレないようにクスリと笑った。








 Fin.










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 初ホー様でした! 喜怒哀楽をあまり出さない感じなので、難しいかもと思いましたが意外に楽しく書けました。夫婦みたいと云われました。常に零度なホー様のお話も増やしていけたらな〜と思っています。
 次ページは「ドレーク」です。

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