10/10/02〜10/11/04
X・ドレーク

グリコ



「ドレーク船長、コレあげます」
 デッキのフェンスに頬杖を付いて、ぼんやりしていた船長の横から、ズイッと手を差し出した。
「――キャラメル?」
 突然現れた私に驚きもせず、コロン、と手の平の上で転がった小さな包みを摘み取り、ドレーク船長は私とそれを見比べる。
「ふふっ、大好きなんですそれ。あ、もしかして甘いものダメですか?」
「いや……有難く戴こう」
 子供っぽいと思ったのだろうか、船長は微笑むと、包みをそっと剥がしてキャラメルを口に入れた。
「美味しいでしょう?」
「ああ……美味いな」
 少し疲れていたからちょうど良かった、と肩に手をやった船長は、ふと何かに気付いたように私を見る。
「何です?」
「いや、お前は食べないのかと思ってな。好きなのだろう?」
 そう訊ねてくるドレーク船長に、ポケットを軽く叩いてみせた。
「船長にあげたのが最後の一個なんですよ。また次の島までお預けです」
「……何だ、そうだったのか……すまないな」
 困った表情で真剣に謝ってくるから、こっちが申し訳無くなって、両手と首をブンブンと振る。
「いいんです、ドレーク船長に食べて欲しかったので! それに、美味しいと云って貰えたので満足です」
 必死にそう云ってから笑ってみせると、船長は暫く黙って何やら考えていたが、ふと何か閃いたかのように、ああ……と声を上げた。
「……??」
 首を傾げて船長を見上げている私の肩に、ドレーク船長の手が軽く乗ったかと思うと、ふいに口付けが降ってくる。
「――! ……っ!!」
 それは段々深くなっていき、呼吸が奪われる代わりに、ほんのりとキャラメルの味を移して、やがて離れていった。
「っ、な……!? なななッ、何するんですかッ!!?」
「お裾分けだ」
「っ……!」
 ドレーク船長は、真っ赤になっているであろう私の頬を、そっと撫でて少し意地悪そうに笑う。
「美味かったか?」
 そんな悪戯な質問に、私は大好きなキャラメルの味が残る口元を抑えながら、ただ頷く事しか出来なかった。








 Fin.










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 友人にキャラメルを貰った事から生まれたお話。グリコってそのままなんですけど、一応お借りしているお題からですから! ベタですがいいんじゃないでしょうか。この後、ドレークさんがキャラメル常備するようにしてたらイイですね!
 拍手ありがとうございました!

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