09/11/27〜10/01/31
トラファルガー・ロー

37.0℃



「キャプテンも倒れたりするんですね」
「……まァな」
 “死の外科医”と云う二つ名の持ち主が先日、本格的な風邪をひいた。それなのに大丈夫だとばっかり云ってて休まず、更に寝不足。そして極め付けが先程の海賊との一戦。
 当たり前だけど倒れました、キャプテン。
「全く……」
 ぐったりとベッドに横になるキャプテンの額に、濡らしタオルを置く私はこの船の副船医。
「キャプテンて平熱めっちゃ低いでしょう?37度って結構な数字ですよ」
「あァ……久しぶりだな、こんな風邪をひくのは」
 弱々しく笑うキャプテンの姿は心苦しくもあるけれど、可愛いとか思ってしまうのは不謹慎ですね、ごめんなさい。
「すぐ治りますよ、何せこの薬、キャプテンが作った風邪薬ですからね」
 そう云うとキャプテンは当たり前だと小さく笑った。
 じゃあゆっくり眠って下さい――と、その場を離れようとすると、クンッと何かに腕が引っ張られる。
「……キャプテン?」
 熱のせいか、やけに熱く感じるキャプテンの手が私の腕を掴んでいた。
「何か必要なものとかありました? 取って来ますよ?」
「……ここに居ろ」
「え?」
 擦れた声にドキドキしてしまう。
「おれが眠るまで、ここに居ろ」
「……。いいですよ」
 弱っている時のキャプテンの姿はあまり見られないから、少し甘えたなキャプテンを前にした私は何だか特別な感じがして嬉しくなってしまう。
 深い藍色の髪をやさしく撫でると、キャプテンは安心したように目を閉じた。







 Fin.










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 ローさんでした。彼は平熱低そうなイメージだったので、このお題を見た時に閃きました。まァベタな事で!!
 次ページに「ドレーク」さんです。

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