10/03/08〜10/05/17
ドンキホーテ・ドフラミンゴ
愛を下さい、
「愛を下さい、って云って、貰えたらいいのに」
「フフフ! 珍しいじゃねェか、お前がそういう事を口にするのは」
部屋の机に腰掛けたドフラミンゴは笑うけれど、代わりに私は深い溜め息を吐いてやった。
海軍本部には召集で来たと云うが、何故か私の部屋を一番に訪ねてくれたらしい。けれど、いつものように早々に去ってしまうのだろう。落ち着きの無い男だ。
――ちなみに私の書類を尻に敷かないで欲しい。
「……んで、誰のなんだ?」
「へ?」
噛み合わない質問に、思わずこんな声が出る。
「誰のなんだよ」
「何の話?」
「……フフ! “愛”の話だ」
「驚いた、あなたにも真顔ってあるのね」
サングラスの色で目は見えないけれど纏う雰囲気で分かる。
微妙に怒っているような、焦っているような――あまり見た事無い表情だった。
「フフ、フフフ! そりゃあるさ! で、誰のなんだ?」
「妙に突っかかるのね」
応接用のソファでコーヒーを啜りながら、どう返答しようか悩む。
「……どうしようもない男の、愛。なんてね」
「そんなヤツの何処がいいんだ?」
思わず吹き出しそうになる。自分の事だと気付きもしないで真剣に首を傾げているドフラミンゴを横目に、コーヒーに映り込む自分と目を合わせた。
「さァね……でもどうしようもなく心惹かれるの」
直接的に告げていないから素直に言葉が出る。そんな自分に少々呆れるけれど。
「ほォ……そりゃァ何処のどいつか聞いとかねェといけねェな」
「何故?」
「フフフ! そいつが羨ましいからに決まってるだろ。ちょいと首を一捻りしてこねェとな」
「、っわ!」
突然、私の体が勝手にドフラミンゴの前へと歩み寄った。多分、いや絶対彼の能力のせいだ。
「もう! 自分で歩けるって!」
「何処のどいつか教えろ」
「……」
「なァ」
きっと今、ドフラミンゴからは覇気と云うやつが出てるに違いない。息が出来ない程気圧されかかるけれど、何故か心臓はドキドキと高鳴っていた。
「……教えたら、あなたが首を捻る事になると思うけど、ドフラミンゴ」
「アン? どういう事だ」
「ふふっ。こういう事」
目の前のピンクのモフモフにぎゅっと抱き付けば、ドフラミンゴは大きく体を揺らして笑った。
「――フフフ!! 幾らなんでも自分の首を捻るなんざ御免だぜ!」
「それは私も同感ね」
「んじゃァお前に“愛”とやらをやるぜ……フフ! フフフ!!」
ドフラミンゴに強く抱き締められたら、肩から落ちた“正義”のコートの事なんてどうでもよくなっていた。
Fin.
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初ドフラ様でした。フフフフ…うるさいわ!!! ドフラ×海兵っての好きです。
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