02
見つけたのは私が先だった。なのに、なんて言ったらきりがないけれど、彼と彼女を引き合わせたのも私自身なのだから、仕方が無い。
「First name、またこんなところにいたんだ。ゲンマが探してたよ」
「カカシさん」
屋上で寝転びながら空を見上げていればカカシが呼びにきた。
あんなに追いかけていたのに、今ではもうその背中を見る事もない。あの日、私はその背中に背を向けてしまった。その瞬間、もう私に彼を追い掛ける資格などなくなってしまったんだ。
「すみません、すぐいきます」
暗部を辞めた時、私は忍じたいを辞めるつもりだった。でも火影はそれを許しはしなかった。実際問題、忍をやめて食べていくのは難しい。私には最初から何も持っていなかったから。
「ねぇ、First name。ちゃんとごはん食べてる?また痩せたんじゃない?」
「あはは」
彼に背を向けて空に向けて笑った。そして、顔だけ振り向いて……。
「あなたに関係ないじゃない」
両手を広げ、重力に抵抗なく、落ちた。
その背を彼が、憂いた目で見つめているとも知らずに。
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