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002

隣の席の秀才君こと孫悟飯くんは、私の友人であるビーデルさんの彼氏さんだ。失恋して髪を切るならまだしも恋をして髪を切った彼女は変な奴だと思う。短い髪もお転婆な彼女にも似合っているが、長かった頃の方が私は好みだった。

まぁ、私の好みなんかは今はどうでも良い。ハイスクールでも既に公認のカップルと何故私は毎日毎日ランチをしなければならないのだろうか。まぁ、最大の理由は私の協調性の無さだろうけど。つまりは、構ってくれるのが幼少期からの友人であるビーデルさんと、その彼氏だけという訳だ。


「First name、またジャンクフード?」

「うん」

「あなたねぇ、何度も言っているけど、そろそろちゃんとした食事しなさいよ」

「あはは、今さら」


真面目な顔をした彼女の言葉を笑い飛ばしたら頭を殴られ……そうになった。避けましたとも全力で。彼女は武道少女で怪力少女なんだ。当たったら、たまったものじゃない。


「あ、良かったら僕の母に頼んでFirst nameちゃんの分も作ってもらいましょうか?」

「え」

「First nameちゃんの分ぐらい何てことないですよ」


うぅ、何て良い奴なんだ君は。本当、今時珍し過ぎる純朴少年だ。


「うーん、すごく嬉しいけど、遠慮しときます」

「え」

「無駄よ、悟飯くん。私も前にシェフに頼んで作ってあげるって言ったのに、この子聞き入れなかったもの」

「はぁ、普段はどうしてるんですか?」

「自炊」

「嘘」


即答すれば、ビーデルさんに即答で返された。
私は、べつに両親が幼い頃に無くなったとかいう悲劇の少女ではない。ただ、私の母と父は、私がハイスクールに上がったと同時に「ちょっと世界一周の旅してくるわ!」と、お隣さん家に私を任せて出ていってしまっただけ。
あぁ、何て薄情な奴らなんだ。

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