01
某日、彼らの行きつけである焼肉屋で、金髪美少年の叫び声が響き渡っていた。
「うるさい、ナルト!」
ピンク色の髪を持つ春野サクラは叫び声とともに勢い良く立ち上がった金髪美少年こと、うずまきナルトの肩を掴み無理矢理席に着かせた。
「だだだだってよ、サクラちゃん!キバに、キバに彼女ができたんだってばよ!?」
「知ってるから。あんたが里を開けてる時から知ってるから」
「くくくっ、そりゃあ驚くわな。なんたってキバに女だもんな」
煙草片手に意地悪く笑い声を絞り出す奈良シカマルを、話題の張本人である犬塚キバは面倒くさそうに横目で睨んでぼそりと愚痴を零した。
「うるせぇよ」
「で、相手は誰だってばよ!」
「教えねぇよ」
「何でぇ!?ははーん、分かったってばよ」
「あ?」
胸の前で腕を組んでドヤ顔するナルトを怪訝な目で睨むキバ。
「どブスなんだな?」
瞬間、少女たちの拳がナルト目掛けて飛んだ。
「誰がブスだってー?ナルト!」
「いってぇー!てばよ、サクラちゃんにイノ!」
「当たり前でしょ!?あんたが、First nameをブスだなんて言うから!次言ったら沈めるわよー」
拳を振り上げたままのイノにビビったナルトは口を結んで必死に頷いた。
「First nameちゃんはどブスなんかじゃないよね?シカマル。まぁ、特別可愛くもないけど」
肉を喰らいながら毒を吐いた秋道チョウジにシカマルは馬鹿野郎と小突いた。
「あの、First nameちゃんは、その、とっても良い子だよ」
控え目にも珍しく、そう主張した日向ヒナタに、ふとナルトは首を傾げた。
「なんだ、ナルト。Family nameFirst nameを覚えていないのか?」
油女シノの言葉で、ようやくナルトは疑問に気付く。
「なんだ?皆、キバの彼女のこと知ってんのか?」
「はぁ?ナルト、あんた覚えてないのー?」
サクラが心底呆れたようにナルトに言った。どうやら自分も面識があるらしく、記憶を辿るがFamily nameFirst nameという少女に覚えはない。
「アカデミーで同じクラスだったじゃない」
ナルトはとうとう頭を抱えてしまった。どうやら同級生らしい。しかし、本当に全く覚えがないのだ。
「お待たせしましたー。上カルビ10人前でーす」
やる気のなさそうな店員の声に、ふと顔を挙げたナルト。そして店員の顔を見て、何やら鮮明に思考が動きだす。
「あぁあああああ!」
ナルトの二度めの絶叫が店内に響き渡った。
「テーブルに足を乗せないで下さい。それに、うるさいです。他のお客様の迷惑です」
心底迷惑そうに言った店員こそ、Family nameFirst name。犬塚キバの女だった。
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