18
紫煙が揺れる。その煙の元を辿れば行き着くのは、自分よりも随分と年下の恋人だ。
「あれ、いいのかよ」
「もうあれはどうにもならないよ。あの人も分かってて引けなくなっちゃってるから。てか、First nameもFirst nameだし。自業自得だし。なんのための長期任務だったんだし」
ぽそりと零したシカマルの言葉にナズナは倍以上の返答を早口でこたえた。
「おい」
「何?」
「そんな顔すんなよ」
「どんな顔よ」
「後悔とか?とにかく泣きそう」
「泣かないし!」
プライドが許さないとでも言うように、間髪入れずにナズナは噛み付いた。シカマルはちょっとギョッとしたあと、短くなった煙草を灰皿に押し付けた。
「長期任務から帰ってきた次の日会ったのよ。あの時は何だか晴れやかな顔をしてたのに、一週間もしないうちに、あの子ったら」
前みたいに、人形みたいに笑ってる。
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