009
トランクスくんが、お家で誕生日パーティーを開くらしい。さすが、金持ち。パーティーって言っても規模が違う。
誕生日って言ったらケーキにチキンにポテトに、家族みんなで楽しいパーティー。ちゃっかり私もお呼ばれして、おめかしして行けば吃驚。お庭で盛大なパーティーが開催されていた。
「First name!」
「あ、トランクスくん。誕生日おめでとう」
「へへっ、さんきゅ」
いつもみたいに現れたトランクス。ちょっと動揺しながらも祝いの言葉を告げれば、彼は照れて笑った。可愛い。
「あら、やっと来たのね」
「ブルマさん、ごめんなさい。寝坊しちゃった」
「そんなことだろうと思った。先にパーティー初めて良かったわ」
ブルマさんが言った通り、既に広い庭では呑んで食べて笑ってのパーティーが始まっていた。
「ごめんね、トランクスくん。遅れちゃって」
「そんなの気にしないよ!」
「嘘。さっきまでトランクスったら、First nameが来ねぇ、First nameが来ねぇって、ずっと騒いでたのよー」
「ママ!」
顔を真っ赤にさせてブルマさんに噛み付くトランクスくん。微笑ましいなと眺めていたら、トランクスくんが窺うように私を見た。
「どうしたの?」
視界を合わせるようにしゃがみ込んでトランクスを見上げれば、拗ねたように唇を尖らせてぼそっと呟いた。
「だって、かっこ悪いだろ……」
「へ」
かっこ悪いなんて……。うるうるしてきた彼の瞳に胸がきゅんきゅんする。
「かっこ悪いわけないじゃん」
そっと伸ばしてトランクスくんの頬に手を添える。
「だってトランクスくんは、私のヒーローだもん」
にっこり微笑めば、一瞬目を見開いたあと、太陽のような眩しい笑顔を向けてくれた。
「あ、そうだ。はい、プレゼント」
可愛くラッピングされた箱を手のひらに乗せて差し出す。
「うわっ!ありがとう、First name!開けて良い!?」
「もちろん」
トランクスくんにあげたのはブレスレット。
「あら、素敵じゃない」
嬉々として包み紙を開けたトランクスくんをブルマさんが覗き込んだ。
「トランクスくんには、おもちゃとかの方が良かったかな?」
「……」
ブレスレットを見下ろしたまま固まっている彼に困ったなと眉を下げる。
「そんなことないわよ」
「え?」
ブルマさんの言葉に彼女を見上げたら体に衝撃が走った。
「うわっ。トランクスくん?」
「……ありがとう」
耳元で囁かれた言葉に口元は緩み、私もしっかりと抱き締め返した。
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