ぶりっ子の悲劇・5
ぶりっ子は燃え尽きた。真っ白になっているところを、由愛先輩が呼んだ風紀委員によって保健室へと護送されていく。
バカップルな奴らも、イチャイチャしながら自分の教室へと戻って行った。確かにあれを見せ続けられれば、イラッとするかも。リア充滅び……いや、末長くお幸せに。
「災難だったな」
「あー、まあ。でも、ざまあみろって感じなので、災難ていうほどでもないですよ」
ぶりっ子の美形博物館は、本人にとって一番好ましくない形で閉館した。
傍に侍らせて優越感に浸ってたら、自分の知らない間に美形同士でくっついてたんだからざまあない。博物館じゃなくて、お見合い会場みたいなもんだよな。さしずめぶりっ子は恋のキューピットといったところか。
これに懲りて、奴の美形収集癖も治まればいいのだが。
「とりあえず、これからはあいつらに煩わせられることもなくなりそうです」
脅迫用に撮っておいたムービーを消してもいいかな。ああ、そういえばそれを見た愛依先輩と由愛先輩が、取り巻き殺す!ってなって大変だったっけ。
まあ、殴る蹴るの暴行と言っても、親衛隊の制裁に比べれば可愛いものなので、俺としては謝罪してもらえばそれでいいかなと思っている。
「そうか。じゃあ、祝いにこれから俺と調教プレイでもどうだ?先日、幸喜に似合いのボンデージを買ったんだぜ」
「祝いならば俺と亀甲縛りプレイだろう。幸喜に似合いの真っ赤なロープも発注済みだ」
「どっちも激しくお断りします」
ぜんぜん祝ってないから。むしろ罰ゲームだろ、それ。
「というか、先輩たちはSとМなんですから、二人で楽しめばいいじゃないですか」
近親相姦になっちゃうけど。あれ、でもこの場合ってどっちがタチで、どっちがネコなのだろうか?疑問に首を傾げていると、愛依先輩と由愛先輩は、それはそれは嫌そうに顔を歪めた。
「相手がいないからといって、可愛さの欠片もないこれを調教するのはごめんこうむる」
「こっちだって断わる!俺は、可愛いご主人様に甚振ってもらいたいんだ!」
そうか。好みじゃないのか。残念。でも、ザ・平凡って感じの俺のどこが可愛いんだ?先輩たちは目が悪いのだろうか。
「それに、俺たちは幸喜だからいいんだ」
「他の奴らなんか、触られたくもないぜ」
にっこりと、それはそれはいい笑顔を浮かべられてしまった。
そんな先輩たちを見て、俺は思う。今まで逃げ続けていたけれど、そろそろちゃんとすべきなのだろう。
ぶっちゃけて言えば、この二人のことは嫌いではない。むしろ、性癖を抜きにすれば先輩として好ましくすら思う。
でも、それが恋愛感情なのかと問われれば、答えに困る。ただ、二人に迫られることに対する嫌悪感は不思議となかった。
逃げるのはあれだ。誰だってケツにあんなものを突っ込まれると思えば、逃げたくもなるだろう。俺はネコ役の子たちを尊敬している。愛があっても、相当の覚悟がなきゃ絶対にむり。
「ちゃんと考えないとなぁ……」
先輩たちに聞こえないように呟く。まあ、ボンデージか亀甲縛りかで舌戦を繰り広げている二人には聞こえないだろうけど。
***END***
カップル説明。
会計×副会長
副委員長×書記
爽やか×一匹狼
理事長×ホスト教師
でした!(笑)
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