ら/い/お/ん/ハ/ー/トパロ (桐嶋夏也)

夏也、と俺を呼んでお前が笑う。好きだよ、と言ってお前が俺を抱きしめる。同じことで笑って、同じことで泣く。

そんな些細なことでさえもお前の言動の一つ一つは俺を癒してくれる。お前がいてくれるからこそ俺は頑張れるんだ。なんて言ったら、お前は大袈裟だと言って笑うだろうか。

それでも俺はそれくらいに、いや言葉では言い表せないくらいにお前のことが大好きだから、いつか子供が生まれたらお前をひとりじめしようとする自分の子供にだってきっとヤキモチを妬いてしまうんじゃないかとすら思う。

だからその時には、お前のことが好きだと笑う子供に「俺と一緒だな。俺もママが好きなんだ」と笑いかけよう。「お前もいつかこんな素敵な人と出会えるはずだからな」って子供と二人でお前を包み込もう。

子供にとってはママかもしれないが、俺にとっては大切な大切な人なんだ。時々だけにするから、たまにはそれくらいの我儘をしたっていいだろう?


最初は恋人のフリだったかもしれない。お前に嘘をついたこともあった。それでもいつの間にか、随分恋人らしくなったと思わないか? 俺たち。

お前が欲しいものや足りないものは全部全部俺が埋められたらいいと思うし、俺の欲しいものや足りないものだってお前に埋めてもらえたら、それ以上幸せなことなんてないんじゃないかと俺は思う。

俺に愛を教えてくれたのはお前で、俺に愛をくれたのもお前だ。愛はぬくもりという分かりやすいものになって触れる度にお前から俺へとたくさん伝わってきた。……だから、俺の想いもちゃんとお前に伝わっていたら嬉しいんだけど、どうだ?

夏也、と俺を呼んでお前が笑う。お前の笑顔を見ていたら、おこがましいのかもしれないけどお前を守るために出会ったような気さえする。守り守られ笑い合って。そうして毎日を過ごせたなら、それは充実した最高の日々だと言えるだろう。

好きだよ、と言ってお前が俺を抱きしめる。そんなにぎゅっとしなくたって俺はお前から離れる気も、お前を離す気も全くないんだけどな。あきれるほど、ばあさんとじいさんになってもずっと一緒にいよう。お前にはこれからもずっと俺のそばに、隣にいて欲しいんだ。

だから、

「結婚しよう」

何度も何度も頭の中で考えてきた言葉のうち、どれだけをお前に伝えられたのかは分からない。それでも俺のこれからの人生を懸けてお前に少しずつでも伝えていくから。

お前が何も言えずにいたっていい。今はお前から伝わってきたこのぬくもりだけで十分だから。お互いに足りないものは多いかもしれないが、それもまたお似合いでいいんじゃないか? こうしてお前と笑い合うだけで俺は幸せだから。お前のことも必ず幸せにするから。だから、俺はお前がいいんだ。



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