意識

パンケーキ好きな私にとってこのお店は来たいお店ランキングの上位に入っていたのですごく嬉しい。

中学時代の思い出話やウインターカップの時の話に華を咲かせつつ、パンケーキを食べていた。
おいしいなぁ、これからは気軽に来れるなぁ。
というか、私の好きなものとか覚えててくれたことが嬉しかった。

そんなこんなでパンケーキを食べ終わった頃、ふと赤司が先ほどの雑貨屋の紙袋から可愛くラッピングされたものを取り出した。
何を買ったのだろうと見つめていると、私が買おうと思い至ったチョーカーがラッピングを剥がされて姿を現した。

「今日付き合って下さったお礼です」
「いつの間に…」
「何が良いか決められなくて。欲しそうにしていたものにしてしまいました」

苦笑しながら言う赤司は立ち上がって私の背後に回り、優しい手つきでそのチョーカーをつけてくれた。
恥ずかしさ云々より嬉しさが勝っていて、手鏡を取り出しては着用状態を確認するとやっぱり可愛い。今日の服装にも似合ってる。

「お礼なんて私がしなきゃいけないくらいなのに」
「なまえ先輩が隣にいてくれるだけで、オレにとっては嬉しいことなんです。受け取って下さい」

背を向けていたので表情は分からないが、きっととても綺麗な笑顔を浮かべていたのだろう。
そこでやっと恥ずかしさを思い出して、俯いてありがとう、と溢した。

その後はまっすぐ赤司の顔を見られなくて、話した内容もうろ覚えだ。
暗くなるので帰りましょう、と提案されて、今度こそ会計は私が、と伝票を掴もうとしたらそれよりも早く赤司が伝票に手を乗せてしまっていた。
その手に触れただけなのに情けないほどに心臓が騒ぎ出したので大げさに手を離してしまう始末だ。
この後もどうせ手を繋いで帰るのだろうに。

そんあ私の気持ちを知ってか知らずか、やはり手を繋いできてもう心臓が破裂しそうなほど暴れまわっている。
家に着く前に死ぬんじゃないだろうかと思っていたら思いの外あっという間にマンションに着いたのでまだ生きてます。

部屋まで送りましょうか?という彼の提案は丁重にお断りして、キーケースを取り出してエレベーターに乗った。



(心臓に悪い、っていうか)
(年下相手に何してんだ私…)

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