舞い上がるストーカー

赤司くんとともちゃんに気を取られてとんでもないことをしてしまった事に気付いた時既に遅し。

隣には黛先輩がいて、沈黙の中サイクルカーを漕いでいた。
景色綺麗やなぁ、でも隣の黛先輩も綺麗やなぁ、コラボレーションやばいな、そんな事よりこれ終わるまでに私生きていられるんかな?

「…みょうじの友達、災難だったな」
「へ!あ…ほんま、まさか赤司くんがあんな感じになるとは思ってませんでした」

苦笑しながら返すけど内心気が気ではない。
喧嘩してへんやろか、せっかくこういう場に来たのだからみんな楽しんでほしいのにもう。

「オレは面白いけどな、あんな赤司見たことない」
「なんかあれですかね、おもちゃ取られたみたいな感じなんですかねあれ」
「まぁ、そんな所だろ。こっちはこっちで楽しめばいいさ」

そうですね、と笑って返した所で、自分がすごく普通に黛先輩と会話できていることに驚いた。
成長したってことかな!終始心臓ばくばくしとるけども!

「…オレらが二人でいれば、嫌でもあいつらが二人になるしそのうち仲良くなるだろ」

似た者同士だしな、とさらっと言われて、今日ずっと何かある度二人なのかと思うと生きていける自信がなくなってしまった。
なんとか…!なんとか保ってくれ私の心臓…!

「二人が嫌なら、赤司はオレが引き受けるけど」
「嫌じゃないです!むしろ」

黛先輩が景色を見ながらそんな事を呟いたので、慌てて否定し続きそうになった言葉を飲み込む。
むしろ嬉しいです、なんて、そんなことを言おうものならこの気持ちを伝えたようなものじゃないか。

「むしろ、嫌じゃないです!」
「…なんだそれ」

変に思われないように宣言すると黛先輩は柔らかく笑ってくれて。
その笑顔だけでもうお腹いっぱいですありがとうございますもう死んでもいいですよね?



(まさか黛先輩が私に微笑みかけてくれる日が来るなんて…!)
(生きててよかった、ほんまよかった)

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