ストーカーのキューピッド

さっそくその日の部活にて。

「赤司くん夏休み何か予定ある?」
「部活」
「いや知っとるけどそれは!それ以外!」
「特にないがまさか僕とどこかに出かけようとしてるのか?」

なんか呆れながらそんな風に言われたので、そんなに嫌なのかと肩を落とすとくすっと笑う声が聞こえた。
ぱっと赤司くんに視線を向けると、肩を揺らして笑っている。珍しい。

「そんなに落ち込むな。次の休日なら部活も休みだから構わないが、一つ条件がある」
「え、ほんま!?条件なに!」

次の休みってことは明後日だ。
遠出はできないにしてもちょっとお出かけくらいならいきなりでもともちゃんも大丈夫やろ。
という事で、赤司くんが言った"条件"とやらの返答を待つ。

「千尋も連れて行く」

にっこりと鮮やかな笑顔をこちらに向けて爽やかにそう言い放つ主将に、笑顔のまま硬直してしまう。
えっ、千尋って、あのお方ですよね?

「僕から誘っておくから安心しろ。明後日な」

笑顔のまま練習に戻っていく赤司くんを目で追うと、赤司くんが向かう先には黛先輩がいることに気付く。
ほんま行動早いなあの人!
と思いつつ、あれだけ遠くから見てるだけでいいって話した相手からの提案にどうしたものかとうなっていたら樋口先輩にちょっとだけ心配された。

とりあえず部活が終わったらともちゃんに報告せな。
明後日どこで集合なのかも聞いてないねんけど、後で赤司くんにラインしたらいいかな?

そんなこんなで今日も黛先輩を愛でながら業務をこなし、日課に取り掛かろうとしたら黛先輩が見当たらない。
私としたことが見失った…!?ときょろきょろしていたら、実渕先輩に声をかけられたので振り返る。

「あの人なら征ちゃんと外に出てったわよ」
「な、なんでわかったんですか!?」
「わかりやすいもの。まだ帰らないみたいだから、戻ってくるんじゃないかしら?」

多分明後日のことを話しに行ったんだろうな。
とりあえずこっそり待っておこう。



(千尋、次の日曜予定を空けておけ)
(…なんだ、藪から棒に)
(なまえから誘われたんだ。キューピッドにでもなってやろうと思ってね)
(気色悪いぞ…)

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