2.盗撮が犯罪って知ってますか?

パシャッ。

携帯のカメラで撮影した時に発される音が聞こえて振り返る。
けど、そこには誰もいなくて、どこかで誰かが何かしらを撮影した音だったんだろう。
そう自分を納得させて、前に向き直って歩き出そうとしたら神出鬼没少年が目の前にいたらしく衝突してしまった。

「なまえさんこんにちは。前は良く見ないと危ないですよ」
「絶対お前わかっててそこにいたよね?」
「まさか。なまえさんが見えたので近づいた事は事実ですが、ぶつかってほしいとは思っただけです」

そう思うだけで実行出来てしまうのがお前の特技だろ、と心の中で毒づいてみるけど言ったところで無駄な事は重々承知しているので言葉にはしない。
この神出鬼没少年黒子テツヤはしばしばこうやって接触してくる。

気付かない私も悪いのだけど、同じクラスで隣の席になって以来教室以外で遭遇する事が格段に増えた。
バスケ部の幻のシックスマンだとかなんとか、確かに私達は中学生だけど中二病こじらせたみたいな呼び名を自己紹介された時はちょっとこの子大丈夫かな?って思ったのは内緒だ。

「なまえさん教室に戻るんですよね?一緒に行きましょう」
「え、黒子今前から歩いてきたんだよね?」
「違いますよ、後ろから追いかけてきたんです」

普段から無表情なので感情が読めない所はちょっとだけ苦手だったが、実に無害そうな所は好感が持てる。
だから黒子から声をかけられても嫌な気持ちはしないし、たまに一緒にマジバに行って部活の話とかを聞いたりする時間は楽しいと思っていた。
まぁ腹黒い部分がある事もわかってるから深くは関わりたくないけど…。

「あれ、黒子携帯持ってたっけ?」
「最近買ってもらったんです」
「んじゃ連絡先教えてよ!」

ぱっと何も考え無しに黒子の携帯を奪い、画面を開くと待ち受けに目を見開いた。
そこに映っていたのは、私が恐らくこの世の中で最も良く知っている人物。
よく朝に鏡で見る、眠たそうに大口を開けてあくびをしている私の写真だった。

「あ」
「…あ?」

焦るでもなくただ一言声を漏らした黒子を見ると、何とも平然としていたので携帯を叩き割ってやろうかと思いました。



(盗撮が犯罪って知ってますか?)
(盗撮じゃないです、堂々と撮っています)
(許可取ってない時点で盗撮だわ!)
(仕方ないですよ、なまえさんが好きなんです)


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