静ちゃんは泣き虫だ。何かあるとすぐに涙を流す。例えば俺が「おかえり」と言って出迎えた時だとかだとか、髪を撫でておやすみのキスをしてあげた時だとか。気まぐれにほんの少し甘やかしただけで嬉し泣きをする。特に程度がひどいのは俺とつながる時。彼の熱が根元まですべて埋まった瞬間、大粒の涙が目元に溜まって、俺の素肌にぼたぼたと落ちてくるあの光景は何とも間抜けで、どうしようもない。泣きたいのはこっちだと何度思ったことか。枕元に隠したナイフを取り出して、その間抜けな面を切りつけてやろうか、とも。そう思うのに、腰をつかむ彼の手が震えていることにうっかり気がついて、俺はしぶしぶナイフではなく彼の目元に手を伸ばすことになるのだ。




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