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鬼が住むか蛇が住むか


くたくた...。
あ"ーやっと終わったあー!あの上司煩いんだよなあ。
これで、電車に乗ったら帰れる!
今日はビールだ。
久々になんか仕事をやりきったーという感じ。家に帰ったら久しぶりに、パーッと飲まなきゃやってられねぇな。

時計を見るともう夜の10時。
電車のホームにはちらほらしか人がいない。
うっわ、遅くなりすぎたか。
ビール飲めっかなー...。

♪〜
いつもの音楽が電車を告げる。
やっと来たー。もうくたくただよ。
プシューという音と共に扉が開くと、ほんっとに人がいない。
いても2、3人だし。
まーラッシュの時に帰るよりかはいーか。...痴漢にも遭わねえし。

重くなった体をどすっと椅子に委ねる。
安心した座り心地に足を組む。
あー。眠い。
...いや家に帰ったらビールが待ってるんだ。寝たらだめだよな。
そう思い鞄からスマホを取り出す。
音楽でも聞こっかなー。
イヤホンを耳に持って行き、プラグをスマホに挿す。
...何聞こっかな。
画面をスワイプして選ぶ。

その画面越しの左側に、俺と同じよーなサラリーマンが居る。でもおっさん。
...下向いてるから顔よく見えねえけど、チラチラこっち見てるよ、な?
...あと向こうの隣の車両も。
なあ、こんな時間だしこんなおっさんからの痴漢はごめんだよ?

まあ人少ないし、一人そうだし無視すっか。
こっち来たら、いつものように蹴っ飛ばして上げっからよお。

今まで結構良かった気分が徐々に下がっていく。
適当にスマホをタップして、曲を流す。
...なんかテンション高いの当たったわ。なんでだよ。全然テンション上がんねえよ。

もういっそAV見よーかな。丁度人少ないし。
慣れた手つきでネットを開く。そして、自分のお気に入りの子の新作AVをタップ。
そーいや、今日出てたんだっけな。よっしゃ、丁度いいからこれ見よ。
イヤホンから可愛く喘ぐ声が流れる。
あーやっぱこの子好きだなー。声、超タイプ。
いつもの癖でAVを見る時は必ずと言っていいほど、目を瞑る。
...いや、おっぱいとか見たいけど、まずは声からっていうのが俺の定義で。
今日も癖で目を瞑っていた。
もうけっこう終盤に差し掛かってて。

あー勃ちそう。
抜きたい衝動を抑えるために目を開けた。


「...え、?」

同時に間抜けな声が漏れる。

さっきまである程度距離があったおっさんが、何故か目の前に居る。
頭が理解するより先に、おっさんが囁いた。

「今日は楽しんで」


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