11月お題 | ナノ


11月1日:君の色をパレットに加える(ADV:グリビー)



グリムロックの精神は純粋無垢だ。
だから時々こちらがドキッとするような言葉を無意識に言うものだから、不必要なドギマギを体験しなければならない。

「俺、ビーが好きだ!」

と、笑顔で大声で。
しかもみんながいる前で、だ。
まずサイドスワイプが新喜劇並みに大袈裟に素っ転び、隣にいたストロングアームも巻き添えで素っ転ぶ。
ドリフトは弟子2人を抱えて「鍛錬のランニングに行ってくるでござる!」と叫んでマイクロン2人を脇に抱えて走り去り。
デニーなどは「あ、そー言えば今から近所の寄り合いが!じゃあ行って来ます!夕方まで帰らないよー!」、フィクシットとラッセルは「「買い物行って来まーす!」」などと叫んでやはり逃げ去ってしまった。
残されたのは顔を真っ赤にして羞恥でプルプル震えるバンブルビーと、ニッコニコのグリムロックのみである。

「あ、間違えた。ビーの黄色が好きなんだ、俺」
「………グリムロック、今さらそれは遅過ぎるぞ…何であんな、大声で好きだ!って言ったんだ…?」

頭痛を堪えながら額に手を当てるバンブルビー。
場の空気をやはり読めないグリムロックは心から不思議そうな顔をした。

「ん?好きだから好きだ!って言ったんだ。何か悪いか?俺はビーなら全部好きだぞ!全部!」
「う…わ、分かった、分かったからそう何度も言うのを止めてくれ!…う、わ!?」

またも好き好き連発し始めたグリムロックの口を強引に手で塞ごうと飛び付いたバンブルビーの機体は、伸びてきたグリムロックの両腕にあっという間に拘束されてしまった。
慌てるバンブルビーだが、両腕の力は強く逃げられない。果てにはグリムロックに子犬のようにじゃれつかれてさらに固まってしまう。

「お、おいグリムロック…!」
「なぁ、そろそろ俺の事グリムって呼んでくれよ。ビーに呼ばれたいんだ」
「何を…急にどうしたんだ?」

そう言うと、グリムロックが寂しそうな顔をする。

「好きな相手に呼ばれたいって思うのはそんなに変か…?」
「〜〜〜っ」
「俺、本当にビーが好きなんだ…」

その真摯な顔が普段の呑気な彼ではなく、まるで別人のように見えた。

(やばい、かっこいい…)

バンブルビーは頬の温度が上昇しているのを自覚する。
こんなにも彼に好意を寄せられていた事も嬉しかった。
彼が愛おしい。

「…分かったよ……グリム」
「……へへっ!やった!大好きだぞビー!」
「う、うん…」

たかだか名前を呼んだだけでこんなに喜ぶなんて。

(俺も嬉しくなるだろ…)

そう思うと胸が温かくなる。
しかしだ。確かに好きだと言われて悪い気はしないが、さて皆が帰って来たらどんな風に説明すればいいのか。
バンブルビーはグリムロックに頬ずりされながら真剣に考え始めた。


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