TFADV短編(10月お題) | ナノ


10月19日:願いが生まれた日(AT:ウル→ププ)



感情とは不思議なものだ。

マグナスに就任してからというもの、総司令官にふさわしく厳粛で威厳ある振る舞いを心掛けていた結果、色恋沙汰にはとんと噂の欠片も立たぬと影で揶揄されていた自覚はある。
だがここ最近、己のスパークがとあるオートボットの姿を思い浮かべるだけで水面に輪の揺らぎが流れるように、焦がれるような感情が込み上げて来るのだ。
そのオートボットはまだ若い。
自分と遥かに稼働年数が何世紀もかけ離れていると言うのに、よりによってその青年を恋しく想う気持ちが止まらないのである。
この年で、と。我ながら何とも呆れ果てるしかない。
他人事ならそう思っていただろうに。
しかしそれでもやはり……止まらないのだ。
相手が自分のような年寄りが恋い焦がれているなどと知った時の失望した顔を思い浮かべただけで、スパークがこんなにも苦しい。
一人では決して消えないこの痛みをどうすればいい。

「オプティマス…」

どうか願わくば。
一人身勝手に君を想うことを許してほしいと、ウルトラマグナスは遠い地球と呼ばれる星にいるであろう青年に想いを寄せた。


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