TFAお題小説4. | ナノ





試行錯誤ももはや無意味(センクロププ?)



オプティマスプライムのクローンがいる。
それを聞き付けたセンチネルが親友に瓜二つだというそのクローンに興味が湧いたらしく、一目会ってみたいとさっそく地球のオートボット基地を訪れた。
しかし、オプティマスは困ったような顔をして何故かそのクローンに会わせようとしない。

「はぁ?何でだよ!この俺様がはるばる地球にやって来たってのに、何でお前のクローンに会っちゃいけねーんだ!」
「ラチェットが言うにはあの子の人格は幼い子供程度の知能でしかないそうだ。まだ君と対話が出来るレベルだと思えない。だからセンチネル、悪いが今日はお引取り願えないか?」
「別に会うぐらいいいじゃねーか!この間はウルトラマグナスが会いに来たんだろ?なら俺だって…」
「ウルトラマグナスなら信用出来るが、君の場合だと…」
「だから、なんなんだよ!?」
「いや、そのーーー………君がいきなり襲うんじゃないかと不安でな…」
「す、するかそんなもん!」

真っ赤になって怒鳴るセンチネルを、オプティマスは信用出来ないな…と、腕組みしつつジト目で睨む。

「……本当にか?」
「おう、親友を信用しろ」
「昔、私と初対面の時に君が何をしたのかよもや忘れてはいないだろうな?」

ギクッと顔が引きつるセンチネル。

「な、何をしたっけ?」
「君が『何もしないから』って言って言葉巧みに私を部屋に連れ込んで、即座に押し倒したことを忘れたとは言わせないぞ?」

言いながらその時の記憶を思い出したオプティマスはさらにセンチネルを睨み付ける。
心なしかその顔は赤くなっていた。

「なっ…そんな昔のことまだ覚えてたのかよ!?昔の話だろ〜?お前だってあんなにひーひー喘いで気持ちいいって…」
「センチネル!!」
「うわ!っだ!?イダダダダ分かった分かった俺が悪かったから拳骨で顎を殴らないでくれー!!」
「うるさい!とにかくお前は絶対に信用出来ないから早く帰ってくれ!!」
「ちょっオプティマス落ち着けって…!(涙)」

バトルマスク状態のオプティマスにボコられるセンチネルが涙目で謝ろうとするが、彼の怒りが収まる気配は無く、しまいには尻を蹴っ飛ばされて地面に転がってしまう。
ゴロゴロと転がるセンチネルだったが、ふと何かに当たったらしく勢いが止まった。
顔に何かの影が覆い被さるが、影になっていてよく見えない。

「あ……?」

ボロボロのセンチネルはオプティックを細めて影を見上げる。
じっと見るうちに、見えにくいのは影だからではなくその体の色が元々黒いのだと気が付いた。
赤いオプティックが不思議そうに見下ろしている。表情が乏しく無垢な幼子のように見えるが、その顔はオプティマスに瓜二つだ。
ガバッとセンチネルは跳ね起きた。

「まさかお前がオプティマスのクローンなのか…?」
「………?」

クローンが不思議そうに首を傾げる。立ち上がり、センチネルは無遠慮にジロジロと全身を眺め回した。

「本当にあいつにそっくりだな…おい、お前名前はあるのか?」

顎に触れてくいっと上向かせる。

「名前は…ある。クロ」
「クロぉ?まんまだなオイ」

無表情のまま、自身をクロと名乗った。
見たまんまのネーミングにセンチネルは呆れるが、しばらくクロの顔をじっと眺めた。
まだ穢れを知らない処女雪のような、あまりにも無垢で無防備なその表情。
ジワリとスパークが疼く。

(なんか汚したくなるんだよなぁ)

まだ生まれたての彼に多少の罪悪感はあるものの、触れてみたいという欲望も確かにあるわけで。
そしてセンチネルは欲望に正直な男なのだ。
すっと顔を近付ける。

「………?」

次第に近づいて来るセンチネルにクロは意味が分からずなすがままだ。
あと少しでセンチネルに唇が奪われるかと思われたその時、唐突にーー目の前からセンチネルが消えた。
一瞬だけ見えたのは、センチネルの脇腹にオプティマスのしなやかな足が突き刺さる瞬間だった。
派手な音を立ててまた地面を転がるセンチネルをオプティマスは無慈悲に蹴った。

「言ったそばからクロに何やってるんだお前はー!?」
「ぬおおおーー!?」

オプティマスが犯罪者を容赦無くガシガシと蹴りつける。
一方、顔面を地面に叩きつけられたセンチネルは起き上がれず激痛に転げ回った。なおもオプティマスは追撃を止めようとしない。まるで今までの鬱憤が爆発したように逃げるセンチネルをウルトラハンマー装備で追いかけ回す。

「俺が悪かったから許してくれー!?」
「誰が許すかー!!」
「………?」

ポカーンとクロは呆気に取られて追いかけっこを繰り広げる二体を眺めていた。


(終)

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