TF 100題 | ナノ





0076:さすがだなお前(セン→ププ←ウルマグ)



的確な情報収集の一貫として、エリートガードが把握しているトランスフォーマーのデータベースを作成することになった。
後日、作成担当を任されたパーセプターがセンチネルに完成品のプレゼンを行なった。

「へぇ〜ある程度の特徴を入力するだけで該当人物が即検索されるのか。便利だなぁ 」
「私が知る限りの全トランスフォーマーの情報をデータ化しています。名前や特徴はもちろんのこと、ここのアイコンをタップすると…」
「おおっ!?」

タブレット画面からトランスフォーマーの鮮明な3Dホログラムが浮かび上がり、センチネルは驚いた。

「このようにホログラムを浮かび上がらせることができます。これにより詳細なデータが視覚化され、さらにはこのホログラムに触れると…」

おもむろにパーセプターの指先かホログラムの体に触れた瞬間、『触るな!』と音声が発生した。

「うおっ!声まで再現したのか!?」
「必要ないかとも思いましたが、ある程度音声認証の必要性もあるかと思い作りました」
「いやいや完璧だって!ありがとうなパーセプター、これは使えるぞ!」

センチネルは満面の笑みで背中を叩く。
バシバシと叩かれたパーセプターは痛そうに顔をしかめる。

「恐縮です。………センチネルプライム、先ほどから何を検索しているのですか?」
「え!いや、別に。卑劣なディセップ共の情報を確認がてらにちょっとな」
「ならそうコソコソ隠れて検索しなくともよいのでは?」
「とにかく!これはしばらく俺が預かる。有効性を検証した後にウルトラマグナス総司令官に報告するが、それで異論ねぇな?」
「私からは特に何も」
「んじゃこれ借りとくからな」

やたら嬉しそうなセンチネルに訝しみつつもパーセプターは頷く。
そしてタブレットを大事そうに抱えながら意気揚々と立ち去るセンチネルを不思議そうな顔で見送った。




エリートガード本部の片隅にある倉庫の中で、センチネルはドキドキしながらタブレットを操作していた。
目的はとある人物のホログラムだ。名前を検索して浮かび上がるトランスフォーマーは…意中の相手、オプティマス。
凛々しい立ち姿を見た瞬間に湧き上がる興奮を抑えつつ、パーセプターの説明通りにあれこれ操作しては一人萌えに耽っていた。
触れるホログラム。360度回転できて際どい部分のズームも可能。極め付けはタップごとに変化する表情や音声!
恥ずかしげな表情の状態で音声タップすると照れ臭そうに『や、止めてくれないか…?』と恥ずかしげに顔を赤らめるオプティマスにスパークが破裂する。
あまりの可愛らしさにセンチネルは床を転げ回った。

「やべぇー!マジで何これすっげぇ興奮するんですけど!!つーかよくこんなの撮れたなパーセプターの野郎!?どうやったつーかまあどうでもいいか!これすげぇ寂しい夜の独り寝はこれ枕元に置いて慰めてもらうのに使え「センチネル、そこで何をしている?」ウワアアアアア!?」

自分しかいないはずの倉庫内で最も呼ばれダイアコくない人物に名前を呼ばれたセンチネルは絶叫した。

「…何をそんなに驚く必要があるのかね」
「い、いえ、大変失礼致しましたウルトラマグナス総司令官!」

呆れた顔をする総司令官に対してセンチネルは慌てて直立不動の敬礼を返す。
引きつった顔をジッと眺めるウルトラマグナスは、ふと足元に落ちているタブレットに気が付いた。

「これは君のか?」
「あ、そ、それは…」

センチネルは慌てる。もしもウルトラマグナスがあのホログラムを見たら取り上げられりるかもしれない…!
そんな不安を抱きつつもタブレットから気をそらそうと必死になる。

「そ、総司令官はなぜここに?」
「必要な資料を取りに来ただけだ」
「そんなもの文官に任せればいいでしょうに…」
「最近運動不足でな。たまには歩かないと体が鈍ってしまう」
「そ、そうですか…(トレーニングルームに行けよ…)あ、あの〜すみません、そろそろタブレットを返して頂いて」
「ん?これは?」

ホログラムアイコンをタップした瞬間に浮かび上がるオプティマスのホログラムを見たウルトラマグナスはカメラアイを丸くする。
恥じらう表情を浮かべるオプティマスのホログラムを思わず凝視した。
センチネルは崖下に突き落とされた蛮族のような顔になった。

「…これは?」
「え、えっと、それはあのそのっ」
「私は本来なら部下の趣味に口を挟むつもりなど無いが」
「誤解ですウルトラマグナス総司令官!これはパーセプターが作った全トランスフォーマーの視覚化データベースで、俺は試験操作していただけです!」
「視覚化データベース?ならいずれは私に報告する予定があったのだな?」
「もちろんです!」
「ではこれは私が預ろう。異論は無いなセンチネル」
「え!いやそれは」
「異論は無いな?」
「………はい」

有無を言わさぬウルトラマグナスにセンチネルは従うしか道は無い。
タブレットを持ったまま倉庫を後にする総司令官を見送った後、センチネルは床に崩れ落ちながら涙を飲んだ。



エリートガード本部 総司令官室。

タブレットに浮かび上がる穏やかな微笑みを浮かべるオプティマスのホログラムをウルトラマグナスは満足げに眺めていた。

(終)

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