TFAお題小説3 | ナノ





10.ペアのマグカップ(センププ)



元カノの結婚式に招待されたオプティマスは夕方に帰宅した。披露宴だけ参加してその後の二次会は参加しなかったと言う。
それは懸命だな。センチネルがそう言うとオプティマスは苦笑しながらテーブルの上にパンパンに膨らんだ紙袋を置いた。

「引き出物をたくさん貰ったよ。ほらペアのマグカップ」
「元カノの結婚式の引き出物なんか貰ってくんなよ…」
「そんな事言わないでくれ。とても素敵な式だったんだ。それに貰えるものは貰わないと」

今のオプティマスは不気味なほど機嫌がいいらしい。ガサゴソと引き出物の中身を取り出して一つ一つ確認している。
何処か妙だ。
センチネルは最初に置かれたペアのマグカップを手に取って眺める。マグにはそれぞれ可愛い男女のイラストがプリントされていてなんとなく小憎らしい。
そう言えば。
センチネルは気になる質問をぶつけてみた。

「エリートガードの高級将校って誰だ?」
「たぶんセンチネルは絶対に知っている奴だけど、……言わない」
「はぁ?何だそりゃ?」
「まあ、別に私達にはもう関係ないからいいじゃないか。そうだ、コーヒーでも飲まないか?せっかくだしそのマグカップで飲もう。私が淹れるよ」
「いや、俺が淹れる。お前はソファに座って待ってな。疲れてるだろ?」

オプティマスの動きが止まった。
センチネルは立ち上がるとオプティマスからマグカップを取り上げる。何も言わなくなった彼を促してソファに座らせた。
コーヒーを淹れて戻ると、俯いて座っていた。なんとなく理由は分かる気はするが、ここは会えて追求しないのが優しさなのだろう。
おそらくはーーろくな目に合わなかったのだ。
センチネルが隣に座っても俯いたままのオプティマスへマグを渡す。オプティマスは無言で受け取るとコーヒーを飲み始めた。
そのまましばらくの間、無言だった。

「なぁ、オプティマス」

途中でポツリとセンチネルが呟く。

「何だい?」
「俺達結婚しないか」
「………えっ」
「今からペアリング選びに言ってディナーでも行こうぜ」
「センチネル?」
「こないだ愛してるって言ったよな」

ポカンとするオプティマスにセンチネルはニヤリと笑った。
そしてソファから勢いよく立ち上がったかと思うと、古の騎士のような体勢で床に膝をつきながら見上げて来るではないか。

「そんな女より俺が百億倍幸せにしてやるから結婚しよう!」
「……クッ、ははは…!」

さらに人差し指に唇を付けてセンチネルが大真面目な顔でプロポーズしてくるものだから、口が歪んでしまいついに吹き出してしまう。
オプティマスは涙を滲ませながら、やがて声を上げて笑った。


(終)

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