TFAお題小説1 | ナノ





07.君らしい (センオプ)



*センチネルとオプティマスが同居している設定。





ある日、センチネルが暇だからとオプティマスの部屋に勝手に入って本人の了承も無く勝手に私物を漁っていた時にそれを見つけた。

「お?これは電子ブックか?あいつ読書好きだからなー。これロックが掛かって…ねぇな。全く不用心なやつだぜ」

ニヤニヤしながら電子ブックを弄るセンチネルは、あの生真面目な優等生がさてどんな本を読んでいるのか、さてはこっそりエロい本でも読んでいるのでは?
見つけたらあいつをからかってやろう。
そんないじめっ子の心境でブックに保存されているページを開いて画面に表示されたタイトルを見た瞬間、意外なタイトルにオプティックを丸くする。

「えー…『愛のない秘密の契約〜身分違いの恋〜』!?なんだこれ、あいつこんな恋愛小説なんか読んでんのか?あ、よく見たらしおり数ハンパねぇ!すっげえ読み込んでやがる。しかもバッチリ濡れ濡れ18禁だし…マジ意外…」

心底意外だとセンチネルは嘆息する。
学生時代でも友達連中とエロ話なんかしても顔を真っ赤にして嫌がった男が、まさかこんな刺激的な恋愛小説を愛読していたとは!
へーほーと興味深げに結構沢山保存されている本のタイトルをスライドしていたセンチネルは、ふとある共通点に気付いた。

「…よく見たらジャンルが偏ってんな。てかこれ全部『身分違い』か『エリート彼氏×地味ヒロイン』じゃねーか。あいつってこーゆーの好きなのか…でもなんかこいつは…」

上流貴族とメイドの恋物語。
強引な契約結婚。
俺様彼氏と地味ヒロインの恋模様。
なんというか、これは今の自分達にも当てはまりそうな内容ではないか?
そう思ったセンチネルは、とうとう堪えきれずに噴き出した。こんな小説をあの生真面目な男が真剣な表情で読み耽っていたのかと思うと腹を抱えて大笑いする。

「は、腹いてぇーーー!!オプティなかなか可愛いとこあんじゃねーか!!ハッハハハハーーーーイッテェ!?」

いきなり頭部に衝撃を受けたセンチネルは、あまりの痛みに電子ブックを放り投げて頭を抱えながら蹲る。
どうやら何者かに拳骨を振り下ろされたらしいが、とにかく痛い。
涙目で相手を睨み付けようと顔を上げたセンチネルはさぁ…っと表情が青ざめる。
よく考えたら同居しているんだから彼がいるのは当たり前ではないか。心から自分の間抜けさを恨んだ。
見上げると、やはりオプティマスが寒気を感じるほど恐ろしい笑顔でセンチネルを見下ろしていた。

「センチネル…また勝手に私の部屋に入ったのか」
「あ、お、おかえり〜オプティマス。早かったなー」
「私の許可無く勝手に部屋に入るなと、何回言えば分かるんだ!?プライバシーぐらいきちんと守ってくれ!」
「センサーの真横で怒鳴るなようっせぇな!」
「全然反省してないだろ!?これだけ言っても約束を守らないなら同居解消してもいいんだぞ?元々『一緒に住んでくれ』と頼んだのは君の方なんだからな!」
「うわあああああごめんゴメン俺が悪かったからそれだけは止めてくれぇーー!
俺を捨てないでくれオプティマスぅーー!?」
「……はぁ。まったく調子のいい…」

同居解消宣言をした途端に泣き喚きながらオプティマスの足に縋り付くエリートガード副官を呆れた顔で見下ろす。
どれだけ注意しても自室に侵入する親友にブチ切れたのは一度や二度ではない。
その度に何度こんな馬鹿げたやり取りを繰り返しただろう。本当に出てってやろうかと迷う時もあるが、結局自分は自己中で俺様な彼が憎めないのだ。なんだかんだで、好きだからこうして傍にいる。
だから今日もどうせなあなあで済まされるのだ。
いつもの事だ。
はぁっ。
オプティマスはやれやれと排気する。

(私も大概甘いなぁ…まあ、そろそろ許して………ん?これは……まさか!?)

足元に転がっている電子ブックを見た瞬間、オプティマスは抱き付こうとするセンチネルを突き飛ばして慌ててそれを拾い上げた。
画面には自分の愛読する小説のタイトル一覧表が表示されている。誰よりも見られたくなかった男によりによって見られて…しまった。
しかもこいつは笑っていなかったか?
ギギギ…と錆びた人形のように無言で振り返るオプティマスを見たセンチネルは悲鳴を上げた。

「ちょ、待て待て待てオプティマスホントに俺が悪かった!もう勝手に部屋に入らないから許してくれください!!」
「…しばらく私に話し掛けるな」
「オプティマァァァァス!?」

オプティマスの冷たい声にセンチネルは絶叫した。

そして、その日から無言の家庭内別居が始まってしまいしばらくセンチネルの落ち込み様が見るに耐えなかった…らしい。


(終)

*後半次回に続きます。

8



目次 MAIN




×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -