TFAお題小説1 | ナノ





08.小指を絡ませた(センププ)



*07.君らしいの続き。



家庭内別居状態から一週間経った。
たったの一週間だが、見た目より寂しがり屋のセンチネルは早くも白旗を上げたらしい。
洗浄ルームから出たばかりのオプティマスは、目の前でいきなり跪いたセンチネルにドーンと真っ赤な薔薇の花束を掲げられて不覚にも笑いそうになった。
しかし今は彼と喧嘩中なのだと思い出したオプティマスはわざと排気しながら腕組みしつつ冷たく見下ろす。

「いきなり何なんだ」
「…オプティマス、お前は銀河の星々よりも美しい…俺だけの天使だ!」
「ブッ!?」

いきなり薔薇の花束を差し出したかと思えば、今度はそんなクサい台詞を言われてとうとう堪えきれずに噴き出してしまった。
そこを好機と読んだのか、今度は立ち上がったセンチネルが強引に花束を渡しながら尚もクサい告白で攻め続ける。

「お前の美しさの前じゃダイヤモンドすら色褪せる!俺はお前以外愛せないんだ、お前と一緒なら俺は宇宙一幸せになれる、お前が欲しい!」
「ク、ハハッ…な、何だ急にそんな事言うなんて…私は騙されないからな?」
「プライマスに誓って俺は本気だ!」
「わ、ちょっ」

薔薇の花束を放り出したセンチネルに突然抱き締められた。
驚いて思わず引き離そうとするオプティマスだったが、離すものかとますます腕の力は強くなる。しかしとても優しい抱擁だ。
こんな風に抱き締められたら、オプティマスもセンチネルを拒む事が出来ない。
彼の温もりと心地良さに怒りも次第に薄れてゆく。
これ以上言われたら絆されてしまう。
でも本当はオプティマスも…

「…俺が悪かったよ。本当にこれからは勝手に部屋に入ったりしねぇから許してくれ…」

オプティマスに無視されたのがよほど堪えたらしく、心から謝罪の言葉を述べるセンチネルにオプティマスは苦笑してもういいか…と、そろそろ彼を許してやる事にした。

「…ふふ。もういいよ。君を許すよ」
「ほ、本当に?」
「本当に。…私だって君を無視するの辛かったんだからな…ばか」
「うわああんオプティマスゥゥ!!」
「うわ、苦し…こらっいきなりキツく抱き締めるなー!」

感極まるセンチネルにギュウウと抱き締められてちょっと苦しい。
しかしその顔は笑顔が弾けていて、まるで大型犬のように擦り寄って来るセンチネルと楽しそうにじゃれ合っていた。
一緒に床に転がって絡み合いながらしばらくじゃれ合っていたら、覆いかぶさって来たセンチネルに不意打ちのキスをされて思わず機体が硬直する。

「んっ……」
「オプティ…オプティマス、好きだ」
「センチネル…私も君が好きだよ…」

にこりと笑って腕を回して来たオプティマスにセンチネルは不敵に笑った。
それを見上げるオプティマスはやっといつもの彼に戻ったなぁと思う。
しばらく見つめ合った二人は再び情熱的な口付けを交わし合う。
オプティマスは優しく頬を撫でるセンチネルの手に触れると、そっと彼の小指に自分の小指を絡めた。



(終)

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