ねえ、キスして?
あの日の最中はキスを一度もしてくれなかった。切りつけられて、無理矢理体を重ねただけで有ったのは与人からの嫉妬の怒りと痛みだけ。あんなせ、せ、せ……は、つき合ってから何度かあったけれどキスをしないのは今回が初めてだった。だから僕は現在不安である。キスをしてくれない。言葉だけで愛してくれていないのではないか。重たいかもしれないがキスをしてくれないと僕は不安で不満である。正直せ…せっ……、より僕はキスの方が大切なんだ。
鶴「与人」
与「なーに鶴たん?」
鶴「よーびーとー」
与「つーるーたん?」
解ってくれないのか。言葉にしない僕も僕だけど。言葉にしなくても解ってくれている与人に甘えてる。だから言葉にするのは中々恥ずかしくて上手く言葉に出来ない。キスがしたいって言いたい。けど、喉に詰まって中々出てこない。言えない。欲しいのに、言えば与人はいくらでもくれるのに。自分からするなんて以ての外。恥ずかしさの余りに死ねる。
鶴「与人、き、き…」
与「き?」
出てこい僕の言葉!あと一文字!一文字だけ!
鶴「き…っこー○んの醤油もう無い!」
与「え?!本当に!?」
鶴「……今度買っといて」
与「おー。砂糖も無くなりそうだったよなー」
鶴「牛乳も…よろしく」
何言ってんの?!きっこー○んの醤油とかまだ余裕であるし!もうキスがしたいって言えなくなった!キスのきはもう無理!他には…ちゅー?ないないないないないない!キモイ!キモイ!都奈さんなら言ってもセーフだけど僕はアウト!他には…接吻…武士か!接吻ってなんですか?!合わない!マウストゥマウス論外!なんて言えばいい?前使った鱚下医=キスしたいとか?バカか!鱚の時点でバレるだろ!バカだ!
与「鶴たん、トイレ行ってくる」
鶴「あ、あぁ」
……頭冷やそう。キスして欲しいけど与人はしたくないかもしれないし、キスよりせーせーせーの方が良いんだろどうせ。キスより身体なんだろ。もういいや。バカバカしい。散歩でも行こう散歩。邪念を振り払おう。
与「あれ?鶴たんお出かけ?」
鶴「散歩に行ってくる」
与「俺も行く!」
鶴「ついてくるな」
与「鶴たん一人だと襲われる。絶対に襲われる。寧ろ今は行かないで」
鶴「は?」
与「そんな紅葉を散らした頬に泣きそうな顔をして出たらだーめ」
鶴「…平気だ」
与「鶴たんだーめ。もぅ……ごめんね」
鶴「は?」
与「焦らして、ごめん。鶴たんが可愛い過ぎたから反応を見てた」
鶴「……んっ、」
与「キス、いっぱいしよ?」
やっと、キスしてくれた。
でも、
鶴「だが断る」
与「えぇぇぇえ?!」
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