A


……こうして、いつもの朝の喧騒は担任の先生が来たことにより終わりを告げ、いつものつまらない授業は始まり、そしてあっという間に昼休みになった。お昼休みになった途端、みんな楽しそうに机をくっつけお昼御飯を食べ始めるが、ぼっちの僕には一緒に食べる友達はいない。みんなの視線を避けるようにして、僕はそっと教室を出る。友達と楽しそうにしてるのを見れば羨ましいと思わなくはないけれど、今さらみんなの輪の中に入れるほど僕は器用ではない。かといって一人で平然といれるほど強い意思があるわけでもない。明らかに僕はクラス内では浮いてるんだろうが、苛められてないだけマシだろう、……なんて事を思いながら、僕は校庭のはしっこの日陰のベンチに腰を下ろし、パンとジュースを膝に置く。人目がなくなった事に安心し、ちょっと息をつきつつ僕は校庭を見る。すると、ちょうど目の前のグラウンドではサッカーをしている生徒が何人か見えた。どうやら体育の授業の延長で、勝負がつかなかったグループが改めて延長戦、みたいなことをしているらしい。……健全だなあ、なんて苦笑しつつ僕は昼御飯に目を向け、とにかく腹を満たそうとする。……すると、



「!危ない、避けろ!」
「……え」



グラウンドから短い叫び声がして、思わず僕は顔を上げる。すると目の前には泥のついたサッカーボールが、……



―――バチィっ!



「――!」
「!大丈夫か!」



……なんで目の前にサッカーボールが、なんて思った瞬間、僕の顔面に物凄い衝撃と派手な何かがぶつかる音がした。そしてその途端、脳が揺れるような気持ち悪さと顔面全体をはたかれたような衝撃と、摩擦で焼けるような感覚が襲った。あまりの気持ち悪さ、そして鼻をツンと刺すような痛みに耐えきれず、僕は思わず顔を覆って下を向いてしまう。そしてそれと同時に、こっちに走ってくるような足音が聞こえた。



「、すまん、大丈夫か?」
「悪い!あんた、大丈夫かよ?」



妙に落ち着いた声に快活そうな声。どうやらグラウンドにいた生徒が超特大ホームランシュートを打ったらしい。……ノーコンが、大丈夫であるわけないだろう!……と言いたいとこだが、



「……う、……だ、大丈夫」



……ツンとする鼻を押さえながら、僕は何とかそう答える。……こういうとき、事なかれ主義に走ってしまう自分が恨めしい。目を開ける事もままならない中、顔を手で覆い下を向いてると、声をかけてきた奴が僕の肩に手を置いた。



「……大丈夫じゃないようだな。保健室に行こう、……立てるか」
『しかし不意打ちの顔面直撃とは痛かろうな、……ああ、しかしもったいない。あれが俺に当たっていれば』」
「……いや、大丈夫だから、ほんとに」



最初はまともな事を言うくせに、後半変な事を言うそいつに、僕は首を振る。しかしその隣にいたらしいもう一人が、また心配そうに僕に声をかけてきた。


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