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最終更新2021/10/15(詳細はUPDATE)

未だ見ぬ暁の果てに。

嫌われたくなくて嫌われたくなくて嫌われたくなくて。
いつもビクビクしながら生きている。

「…へぇ、俺に嫌われたくねぇんだ? お前」

聡い人は気付く度、言うのだ。見下した様な・同情する様な冷笑で。

「なら、精々飽きられねー様に奉仕するんだな」


俺はその目に、嫌われたくなくて。





「無様なもんだな、お前」

俺はこの男の言い成りで。
俺はこの男が愛しくて愛しくて愛しくて愛しくて。

「っ…く、ぅ…」
「何、泣いてんだ? 被害者でも気取ってんのか?」
「ちが、」
「忘れんなよ? 俺の上に勝手に跨って、勝手に腰振って。勝手に喘いでんのが、…誰なのか。」
「っ」

感情の一切を失った様な声と・耳を塞ぎたくなる様な、台詞が。唇に刻まれた笑みと伴に深く斬り付けてくるのだ、いつも。

「嫌なら、しなければいい」
「ゃ、」
「今直ぐ俺の上から退いて消えるんだな、何処へでも」
「嫌だ…!」

どうしてこんな男を愛してしまったのだろう。
どうしてこんな男から離れられないのだろう。
どうしてこの男なのだろう。
どうして、どうして、どうして。

「嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ…っ」
「ほら・な。縋り付いてくるのは、お前だ」
「っ、」
「何を犠牲者振ってんだ、ああ? どっちが犠牲者だか判るか。男相手にボランティアしてやってる俺と、」


鼓膜が灼き切れてくれればいい。
この男の喉が焼き切れてしまえば、
この男への想い全て消え失せてしまえば、
時間が永遠に止まってしまえば、
今世界が消滅してしまえば、



どうして、俺は。



「俺が居なけりゃ生きられないお前と。」




消えてなくなれないのだろう。




この男の言葉通り、俺はこの男が愛しくて愛しくて愛しくて。
この男の言葉通り、この男の偽善に甘えて縋っているに過ぎない。睦み合うこの瞬間でさえ、この男が俺から関心を失ってしまえば忽ち消え失せてしまう脆いもの、俺はそれに縋るしかなくて。

嫌われたくなくて(初めから好かれてなどいないのに)
飽きられたくなくて(ボランティアでも何でも)


「犠牲者は俺の方だろう? 何でお前が泣くんだ。何でお前が怯えるんだ」

反転する視界。
秀麗な顔が下から上に逆転するのと同時に貪る様な口付けを受けて、愚かな俺はまた嫌われたくないと怯える。
いつもいつもいつも。

「お前はどうして欲しいんだ。いつも言ってんだろ? ちゃんと答えられたらお前の望むものを与えてやるって」

繰り返されるそれに、いつも同じ言葉で、

「嫌われたく、ない…んだ」
「何故」
「愛してる、から」
「答えになってねーんだよ。何で判らねぇんだ。お前の望みは『嫌われたくない』だけか」

言えば嫌われてしまうのが判っているから、もう何も言えなくて。
また、この男は諦めた様に薄く笑うのだ。



「まぁいい。ちゃんと答えられるまで、…ずっと俺を犠牲者にしてろ」


愛して欲しい、なんて。
きっと永遠に俺は言えないままで。


  PCサイトのものを丸写し。実は溺愛攻めと弱気受け。

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*めいん#
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