火神大我
「火災事故発生!現場は…」
ストレッチをしていると放送が入った。
すぐに着替え現場に向かった。
大型ショッピングモールの一角から上がった火は瞬く間に広がった。
避難する人々の流れに逆らって向かう女性の姿が目に入る。
「何やってんだ!向こうに避難だ!」
小柄な身体の肩を掴み
ぐい、とこちらを向かせると
「遥?」
『か、火神くん?』
高校時代に片想いしてた遥だった。
「どうしたんだよ?危ないだろ」
改めて細い、と思いながら肩を叩く。
『甥っ子と来てて…はぐれちゃったの。
火が出たところの近くに
ここに来ると必ず行く遊び場があって、もしかしたら…』
私、どうしよう…と泣き崩れた遥を抱き寄せる。
「名前、なんだ?あと身長と服装!」
細かく特徴を教えてもらい
遥の頭を一撫でして出火元へ向かった。
しばらく行くと避難する人の中で泣いてる男の子がいた。
教えてもらった特徴そのままだった。
「たいが!」
自分で自分を呼んでるみたいで恥ずかしい気が少しあったが
たいが君はパッと顔をあげた。
「もう大丈夫だ!遥が心配してるぞ」
小学校低学年のたいが君を抱きかかえ
遥の元に戻った。
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