一筋の涙が頬を伝ったのが分かった。
綺麗だと思ったあの笑顔は
どこか切なくて…でも強かった。
「また、会えますか?」
写真の彼女に問う。
翌日、園児達と園庭で遊んでいる時だった。
「昨日のお姉さんだ!」
一人の子が指差し
他の子達もホントだ!と門に駆け寄る。
『こんにちは。今日は何の遊び?』
子供達に視線を合わせるように
腰を落とす。
「栗宮遥さんですよね?」
園児達を遊ばせ、ゆっくりと話す。
目を見開いた彼女は
すぐに笑顔に戻った。
『そうよ。バレちゃった』
文章や経験からして彼女が歳上なのは分かる。
けれど、照れたように笑う彼女は少女のようだった。
「僕に…何か出来ることがあったら、いつでも連絡ください」
連絡先を書いたメモを渡し
園庭に戻る。
振り向くと昨日と同様に手を挙げて立ち去った。
知らない番号からの着信。
何かが動き始めた気がした。
小説のように素敵な恋ができるとは限らない。
それでも僕は彼女の側にいたいと思った。
「もしもし、黒子です」
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