おでかけ

[heroine side]

ジュードが珍しく家にいる。まあ、色んな書類をかき集めているのはいつものことだけど。また余計な紙の山ができつつある。これをかたす役目が私なのだ。一枚一枚目を通して、どの部分が必要でどこが不必要か。同じ研究をテーマにしていたからこそ情報の有無が分かる。もう手慣れたもので。ノートに写し、画像などは糊付けでまとめる。黙々とした作業に集中していたらもう昼をまわっていた。

「ジュード、お昼どうする?」

「え、……ああ、もうそんな時間だったんだ。どうしよう、外食とかでもいい?」

「うん。ついでに買い物につきあって?冷蔵庫の中結構なくなってきたから」

分かった。そういって彼は上着代わりに白衣を羽織った。私も勿論白衣。なんだかこれがペアルックみたいですね、なんて思っても言えない。そんなこと言ったら学者の人たち皆とお揃いだよ。


トリグラフ駅内の喫茶店は評判がいいときいたことがあったのでそこへ行くことにした。道中他愛もない話に花を咲かせて、魔物が現れたらリンクしながら共に倒す。本当、初めて会ったときとは全然違う。少し背伸びした今を。笑いあえるこの時が本当今の私にとっては幸せなのだ。

昼時ということもあり喫茶店も混雑しているよう。賑わいだ店内で窓際の席を案内された私たちは適当に注文をして来るのをまっていた。

「…あれミラさんじゃない?」

「ん。あ、本当だ。ひとりかな…ちょっと話してきてもいい?」

どうぞって合図に私は席を立つ。ジュードと二人きりなのが嫌とかではない。ただ傍にルドガーやエルが居ないときのミラはなんだか恐いのだ。いつしか気づかない間に消えてしまっていそうで。以前のルルとルルの出会いの時のようにひょんなことで正史世界のミラと出会ってしまうことも考えられる。そうなったときでは遅いのだ。だってそんなことがあったらそれはもう私の知るミラではないのだもの。私にとっては三人目のミラになっているということだもの。


「ミラ!」

「……びっくりした。なによ大きな声出して。何か用?」

「用っていうかー……」

特に理由もない。なんていえるはずもない。ただそこにミラがいたから話しかけただけ。そう言ったらきっと呆れるのだろう。
言葉の続きをさっさと見つけなくちゃ。そう思って私は彼女の腕を掴んでデートのお誘いをしてしまうのだった。


「こんにちは、ミラさん」

「…こんにちはジュード。ねえファルス、本当に私がこんなところにいてもいいの?」

明らか二人の邪魔してると思うんだけど。という彼女に首を振ったのはジュード。気にしないで。そう言う彼からミラは目線を外してため息をついた。隣の席に腰掛けて、持ち合わせがないことを明かされるがそれまたジュードが僕が払うから大丈夫と笑いながら呼び鈴を押して追加注文をする。

「ミラひとり?ルドガーは?」

「どうして毎日毎日ルドガーと一緒に居なきゃならないのよ。彼はエルと公園で遊んでいるわ」

「ミラも交ざればよかったのに」

私が彼女たちを初めて見たときにはすでに三人には固い絆があるように見えていたから。
そこで思い出す。ミラは分史世界の人で、まあ私とそう変わらない展開だったのだろうけれど、ルドガーはともかくエルはどうして旅をしているのだろう。ジュードたちと行動することになったのだろう。その全てが私にとっての疑問だ。



「ねえ、二人はどういう経緯でルドガーと旅してるの?」



素朴な疑問
(だけど聞いておきたいことなので)

2014.5/26


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