アクティに遊ぶよ。









「ぜっこぉーちょーおーまふゆのーこーいーすぴぃどーにーのぉってぇー」

「きゅーじょぉーしょーおー あついはーあーとー」

「とけるほーどこーいしたーい!!」



なまえと品田のテンションが最高潮を迎えている。

土曜日、AM10:05。

金曜日の仕事帰りに、徹夜で高速をぶっ飛ばしたにも関わらず

こいつらの体力は底なしなのだろうか。



「久々だなぁ、楽しみだなぁ。」



なまえがウキウキしているのが見て取れる。

ハッチバックから手早くブーツを取りだして、手慣れた様子で履き替える。

交代で運転していたとはいえ、なまえと品田がひっきりなしにゲレンデソングを歌う所為で

ゆっくり眠ることはできなかった。



「辰雄はレンタルか。」

「うん、峯くんは全部買い揃えたんだね。」



金曜の夕方、突如として思い付いたようになまえがボードに行きたいと言い出した。

そういえば今年はシーズンに入ってからも行っていなかったので、大吾も行くとグループ
ラインで返事したところ

品田は今まで一度も行ったことがない、と寂しいことを呟いたのでメンバーに加わった。

ならばと峯も参加する運びになり、結局いつものメンバーで

雪山のある県外まで車を走らせた。



「上級者コース行こうぜ。」

「え、いきなり?」



普段は厳つい高級スーツの組長でも、ウェアを着れば一般人と変わりない。

品田にはバインディングの留め方だけを教えて、いきなりリフトに乗りこんだ。

大吾となまえがボード派なので、なんとなく品田もボードをレンタルした。

峯はスキー派だった。



「うわぁ堂島君!ちょ、高い!俺高いとこ怖いんだけど!」

「暴れるな馬鹿!あぶねぇ!」



大吾と品田の後ろのリフトに乗りこんだなまえは、峯の隣で

体重制限って大丈夫だったっけと今更少し不安になった。



「そういえば、峯くんはよく行くの?」

「昔、全国スキーヤー選手権で優勝したことがある。」

「うそっ」

「嘘だ。」



シーズン初めのゲレンデはまだ人も疎らで、その上上級者コースともなれば

ほとんど貸切に近かった。

さすがに怪我をさせては可哀想なので、品田に立ち上がり方を教えていると

5分も経たない内にマスターしてしまった。

やっぱり腐っても元プロ野球選手なのだなと感心した反面、ちょっと悔しくなった。



「とりあえず下で合流ってことで。」

「了解。」



人気のないコースは雪が柔らかく、走りやすかった。

久々の感覚に、疾走感を愉しみながら下っていると

もの凄い速さでスキーが通り過ぎて行った。



「峯くん…」

「あいつ何だ、修行か。」



品田の指導は峯が引き受けたというのに、先に下ってしまっては意味がない。

完全に人選ミスだったなと思いながら、大吾となまえは品田が下ってくるのを待った。

習うより慣れよといきなり上級者コースに連れて来たのは

やっぱり間違いだったかなと少し心配になっていると

ほんの数分で先ほど見たばかりのレンタルウェアが滑り下りて来た。



「あ、なまえちゃん、堂島くん。先行っちゃうよー?」



あ然とするなまえの横を、トリックを入れながら楽しそうに滑降していく品田も

かなりスピードを出している。

この調子だと帰る頃にはジャンプくらい当たり前に出来てしまいそうだと感心したけれど

そういえば止まり方って教えたのかなと、ふと気になった。



「俺、今あいつが現役じゃないことに猛烈に感謝している。」

「…。」



下山した先で合流した品田が腰を大層痛がる様を見て、やっぱり人選ミスだったと再認識した。











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