★50000HITありがとうございます企画★






秋の土曜日、午後2時、晴れ。

暑くも寒くもない気温と、ほんの少し冷たい風が心地いい絶好の行楽日和。

大吾がかけた電話は、もしかしたら止められているかもしれないと思ったが

意外にも3コールで繋がった。



『もしもーし、どうしたの堂島くん。』

「辰雄、お前今日暇か。」



寝起きなのだろうか、色気のない欠伸の後で暇だよーと間延びした声が返って来た。

どうせ暇だろうなと思って電話をしたと言わない優しさは、持ち合わせている。



「古いゲーム出てきてな。やらねぇか。」

『何それ楽しそう。あ、でもうち電気止まってんだ。』

「マジか。」



少し驚いたけれどあんまり驚いていないところが付き合いの長さを物語る。

とりあえず落ち合おうと電話口で決めた喫茶店でコーヒーを飲んでいると

いつもと変わらない服装の品田が現れた。



「お待たせー。堂島くん今日休みなの?」

「あぁ。家の片付けしてたら、色々ゲーム出てきてさ。捨てる前にやりたくなって。」



わかるわかると相槌を打ちながら品田が店員にアイスコーヒーと、カレーを注文する。

あれ、電気止まってるんじゃ…と考えかけた思考を

とりあえずまぁいいかと打ち消した。



「問題は場所なんだよな。俺の実家ってのもアレだしなぁ…」



大吾の実家は広いし、もちろん大きなテレビもある。

ただ、せっかくの休みくらいあの張りつめた空気の実家に居たくないというのも事実。

それに休日にごろごろしていると、決まって弥生が早く嫁を取れとうるさいので

わざわざこうして重い荷物を引き摺って出て来たという訳だ。



「なまえちゃん家行こうよ。今日休みでしょ。」



運ばれて来たカレーを数口で平らげる勢いで食事をしながら品田が言う。

普通のサラリーマンであるなまえは確かに土日休みだ。

確か金曜日のtwitterで『久々の連休!やっほい!』と騒いでいた。

なまえの家ならここから離れてもいないし、弥生や他の組員に見つかる心配もない。

いきなり訪問するのは流石に失礼なので、とりあえず電話を入れようと大吾が携帯を取り出した。

品田は既にカレーを食べ終えたのに、まだ何か食べたそうにメニューを見ていた。



『はいはい。おこんにちは。』

「おぉなまえ。今日暇か。」



予定はないと答えるなまえに、品田と同様古いゲームの話を持ち掛ける。

それなりに乗り気になったようで、この後の訪問を受け入れる返事を聞くと

向かいでケーキを食べる品田に親指を立てた。

品田も無言で親指を立て返した。



『じゃあお菓子買ってきてよ。あとビール。』

「なんでだよ。」

『ペディキュア塗っちゃったから、靴履けないんだもん。』

「彼女か。」



渋々承知して、なまえの家の近くのコンビニのラインナップを考える。

甘いものとしょっぱいものを、3000円分位買ってやろう。

色々大荷物になってしまったので、ビールは品田に持たせることにした。

そういえば、ゲームの中には4人プレイが盛り上がるものもある。

せっかくだし誰か他に誘うかと申し出ると、なまえがもう十分だと言う。



『峯くんが来てるよー』

「マジか。」

『肉じゃが作り過ぎたって、今朝持ってきてくれたの。』

「彼女か。」



かくして本日の予定はなまえの家でゲームという、中学生のような休日に決まった。






prev next



「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -