冬。
とくに灰色でもなく過ぎ去った受験生活は無事合格という名の勝利(笑)で幕を閉じた。
同期のバスケ部はレギュラーはもちろんベンチ入りしてた奴らも何人かスポーツ推薦で強豪校に行ったらしい、と聞いたのは偶然だ。
そもそも俺がスポーツ推薦蹴ったって話からの流れだしね。
蹴ったことに対してもったいないだの人事を尽くしてないだのとごちゃごちゃうるさかったけど。
俺の知ったこっちゃない。
そして、春。
俺はテツヤに宣言した通りジジババのところにいる。じじぃの様子は大変だーなんて言ってたけど拍子抜けするほど元気で、ばあちゃんなんて孫と暮らせる!とじいちゃんの体調不良を喜んだくらいだ。
それってどうなのー
と思ったが、まぁ、元気なことはいいこっちゃなーと気にしないことにした。
さておき。
昔親父が使ってた部屋を俺用にカスタムして引っ越しも終わりである。春といってもまだ寒い東北の寒さ対策も忘れない。
「若干まだ蕾があるなぁ、まあでも、入学式に桜咲いてるなんてさすが東北だなー」
ほんのりと薄紅色に色づく空に、初めての詰襟のホックを外してペラペラのスクールバックを持つ。
「じゃあばあちゃん、いってきまーす」
「いってらっしゃい、大和ちゃん。気をつけてね」
なんてのんびりとしたばあちゃんに挨拶をして、学校指定のローファーをカツンと鳴らした。
学校指定のローファーなんて行事の時にしかはかないよなーなんて考えながら、俺は今日から宮城県立烏野高等学校に入学する。
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