レッツ・宝探し!
それはよく晴れた日の部活を終えた後の部室でのこと。
向日が見つけた紙には“この学園のどこかに宝がある。それをみんなで協力して探すのだ。
問題を一回解くごとに宝に近づける。宝にはみんなが喜ぶようなものがあるから、頑張って見つけるように。では、行ってよし! 榊太郎”と書かれていて、その子供染みた内容に部員達は呆れた顔で肩を竦めてみせた。


『……宝探し?あほくさ。』
「…これ監督からじゃん。」
「面白そうだC〜!」
「子供だましだろ。俺はやらないぜ。」
「俺もやりません。くだらない。」
『私も。めんどくさいし。』
「ちょいまち!これ続きがあるで。」


忍足が目敏く見つけた続きの部分には“全員でやらないと宝は見つからない。”と書かれている。


『…だから何?宝なんていらないし。』
「まぁまぁ、宝がどんなんかは気になるやろ?な、ちょっとやってみやん?なぁ跡部。」
「………宝、か。よし!お前ら行くぞ!」
『「「えええ…」」』


珍しくノリ気な跡部に嫌そうな顔をする美麗、日吉、宍戸。


「楽しそうじゃねーの。」
『うわ…目が輝いてる…
「…激ダサだぜ。」


跡部が意気揚々と始めるぜ!と呟いたのをきっかけに、渋々みんなで宝探しを開始した。


『で?どうやって探すの?』
「……さあ。」
「………あれ、なんか紙が貼ってありますよ。」
「…いつの間に…?」


鳳が部室に張り付けられていた紙を発見し、読み上げる。


「えーと…“第一問!空を飛ぶブタのことをなんというでしょう?”……なぞなぞ、ですか?」
『そんなのブタじゃないわ!』
「美麗ちゃん、真に受けやんくてええから。」

「うーん……空を飛ぶブタ…?………アン〇ンマン?」
「鳳、アン〇ンマンはブタじゃない、パンだ。」
「あ、そっか。」



日吉の冷静なツッコミに鳳は照れ笑いを浮かべた。


「…あ!わかったC!“ぶっとんだ”!」
『は?』
「“とん”を漢字にすると“豚”になるC!」
「あぁ、なるほど……コレ…なぞなぞって言うかただのダジャレ?」
『てゆーか理解出来ないんだけど。』
「…答えはわかったがどうすんだ?」
「ここに箱があるぜ。なんかパネルみたいのもあるし…ここにさっきの答えを入れるんじゃねーか?」


部室の隅に置かれたボックス前のパネルに早速答えを入れると箱が開いた。中から出て来た紙には、次の問題がある部屋が書かれている。


「次は……1年B組のクラスか。よし、行くぞ!」


跡部を先頭に一年のクラスへ向かった。



1年B組と書かれたプレートを確認すると、中へと足を踏み入れる。


『あ、紙あった。問題読むわよ?』
「あぁ。」
『“第二問!君の家の中でいちばーん怖い所はどこでしょう?”…怖い場所?』
「はいはい!鏡のある部屋!」
『なんで?』
「鏡の中からなんか出てきたら怖ェじゃん!!」
『……確かに…。』


想像してしまったのか青ざめる向日と美麗。


「跡部は?」
「アーン?……キッチン。」
「……怖い所あるんだな。なんか意外。」
『…なんでキッチンなの?』
「包丁持った奴が現れて、殺されるだろ!?」

『「ないない。」』



声を揃えてさすがにそれはなないと否定する美麗と向日に、跡部は憤慨する。


「テメーら…!あの怖さを知らねーからそんな事が言えるんだ…!!」
『実体験!?』
「マジかよ…」
「いや、夢で見た。」
『紛らわしい言い方すんな!!』

「クソクソ跡部!驚かすんじゃねーよ!!」
「あー!わかった!」
『「「!!」」』


突然響いた鳳の声に一瞬びくりとはねる美麗、向日、跡部。


「答えは階段ですよ!」
「あー!…階段と怪談か。なるほど。でかしたぜ長太郎!」


さっきと同じように箱を開けると次に指定された場所は図書室。階段を登り、図書室に入ると例の問題が書かれた紙を見つけ、日吉がそれを読みあげる。


「“第三問!サービス問題。跡部の得意技は何か”…なんで跡部部長なんだ…!」
『私知ってる!破滅のロンドン!』
「何自信満々に言ってんだ!!輪舞曲だ!」
『あれ?違うの?』
「ロンドン破滅してどーすんだよ。」
『ネーミングセンスなくない?』
「殴るぞ!?」



次は3年A組の教室。


「俺が読むC〜!“第四問!ラッキー問題。思わず「素敵!」って叫んでしまう料理ってなーに?”」
「フッ…俺様に決まってんだろ。」


髪をかきあげ、自信満々に言う跡部に白い目を向ける美麗とレギュラー陣。


『ねぇ景吾。問題ちゃんと聞いてた?“料理”よ料理。アンタ料理じゃないでしょ。』
「……わざとだ。」
「…激ダサだな跡部。」


「…答えは“ステーキ”やな。」


次でラスト。場所は音楽室。


「いよいよラストやな。ほな問題読むで?“よくここまで来たな!褒めてやろう。”」
「うざいですね。」
『うん、うざい。』

「……“ラスト問題!濡れた着物を着せられて、乾いた着物を脱がされる。これ、なーに?”」
『いじめじゃん。』
「はっ!わかったで!SMプレイ…『死ね!』だってそうやろ!?濡れた着物を着せられるんやで?嫌がる女に無理矢理着せる!完璧なるSMやん!下着が透けるやん!体のラインがくっきり…「樺地。この変態黙らせろ!」「ウス」ちょっ…樺地?ま…ギャアアア!!」



樺地の手により変態を削除したあと、ふりだしに戻る。


『…景吾、わかった?』
「……さっぱりだな。」
「最後の最後で難しいの来たな…お手上げだぜ。」


いっこうに答えがわからず、頭を悩ませる跡部達。


「あ……わかりました。」
「言ってみろ日吉。」
「物干し竿です。」
『物干し竿?』
「洗濯物、濡れたのを干して、乾いたのを取り込むって事なんじゃないですか?」
『なるほどー!さすがキノコ!私が愛してるだけあるわ!』
「キノコじゃありませんから。…あの、お願いですから殴らせて下さい。」
『やーだ!』
「……っ!」



怒りで震える日吉をよそに、向日が箱を開けた。


「あ?……なんだコレ。」


中から出て来たのは一枚の写真と手紙。


“おめでとう!これは、私が隠し撮り……ゲフンゲフン……たまたま激写した雪比奈の寝顔写真!これが宝だ!”


箱の中には美麗の寝顔写真が無駄に派手な装飾を施されてしまわれていた。


「「「「「………」」」」」
『………』



沈黙が流れる中、美麗が低く唸る。


『………いつの間に…っ!最低!血祭りにしてやる!!』
「美麗、手伝ってやるぜ。」
「俺も!なんかムカつく!」
「俺もやるC!」
「ふ…楽しいお祭りの始まりですね。

美麗に続き立ち上がる跡部、向日、ジロー、鳳。五人は怪しく笑いながら、どす黒いオーラを放つ。


「…楽しいっつーより…恐怖の祭りの始まりだろ…」


冷や汗だらだらな宍戸だったが、止める気はさらさらない。


「これ最高やん!監督ありがとう!!大事にする!宝物や!」


一人興奮する忍足に五人の目がギラリと光る。


『まずは…あそこの変態眼鏡からね…』
「…あぁ。」


鬼と化した美麗を先頭に、忍足の血祭りが開催された。


「バカだよなぁ忍足も。」
「そうですね。」
「…なぁ若。お前楽しんでないか?」
「え?」

振り向いた日吉の滅多に見ることがない満面の笑顔に思わず後ずさる宍戸はひっそりと頭を抱えた。

「………誰かまともな奴いねーのかよ…」


その日のうちに、五人は監督の血祭りを実行した、らしい。


***
最後まで読んでくれてありがとうございます!つまらなくてホントすみません(泣)
無理矢理感バリバリですが、その辺は無視の方向でお願いします。ちなみに物語中に出てきた問題は家にあったなぞなぞ本を参考にしました。不正解だった答えも、実際に出たものばかりです(笑)

第一問のアンパンマンという答えは私が言いまして…言ってからすぐにアンパンマンはブタじゃないと弟につっこまれました(笑)いやあバカでした。


管理人:雪紫天音
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