■ よかった

「ガウ、ここにあるの?」
「忘れた」
「しかたないでござるな」
「探してみるか」
「だね」

三日月山に入った私達(ちゃんとモブリスには寄って来たよ、うん。その話は後日)は危険な気がする隅は通らず、真ん中をずっと通ってこれ以上進めば外に出てしまうという所まで来ていた。
ここまでにガウの言う宝は見付からず、ここで見つけなれば引き返さなくてはならない。

「あ、」
「これが、ピカピカ、でござるか?」
「たから!たから!」
「単なるガラス玉ですのう」
「頭がスッポリ入るぜ」
「ガウにとっては宝なんだよ。ってかこれ村の人が言ってたヘルメットじゃ……」
「「あ」」

思い出したようにポンと手を叩く二人。
いや、2日前の話なんだから覚えていようよ……

4つあるそれを持って近くの出口から出ればすぐそこは荒れ狂う海、蛇の道の丁度通り道だった。
前衛二人が呟く中、別に私はもうなんでもよかったりする。
だってモブリスで防水加工してきたし、ウェットスーツ+ゴム手袋(完全防水のピッチリのやつ)手に入ったから服の下に来てんだよね。
怖いものなしさ。

「激しい流れでござるな……」
「確かに……」
「でも蛇の道使わなかったら皆と合流できないよ?」

身長の高い集団に前を塞がれていたガウが何を見ているのかと崖下を見て、跳び跳ねる。
マッシュに臆する事なく向かって来たガウに怖いものがあるとは思わなかったよ。
洞窟の入り口まで戻ってこっそりこっちを覗いているガウ可愛い。
上目遣いだ。

誰とも知らず漏れ出た笑いに勇気が出たのかマッシュとカイエンが飛んだ。
それを見て信じられないと言わんばかりに目を見開いたガウに私は言う。

「ははっ、威勢のいいやつら。行こう、ガウ。怖がることはない」

そう、流されるのはこれで3回目、水に浸かるだけを合わせたら4回目だ。
流石にもう慣れた。





敵も出て来たけど、パワー重視のこのメンバーに敵うはずもなく、魔物はどんどん潰されてゆく。
私達も流されているんだけど、どこをどうやって流されているなんて分かりもしなかった。
でも、そんなに長い時間じゃなかったと思う。
途中、何度か休憩の為に海底洞窟へと上がり、気付けば岸が見えてきてすぐにそれがニケアの港だとわかった。
見たことのある物の多い港だったからね。

海から上がってきた私達に驚いてる船長っぽいおっちゃんにサウスフィガロ行きの船は出せるかと聞いたところ、こちらの都合のいい時間に出してくれるらしいから準備が整い次第酒場に集合、出発ということにした。

これだけ物が多いと何買っていいかわからない為ワイシャツだけ買って、買い出しは3人に任せて私は酒場で情報収集に専念する。
決して酒が飲みたかった訳じゃないぞ。
まぁ、どれも大した情報なんてなかったから結局は踊り子やってたうちの従業員(名前はメリー)と飲んでんだけどね。

うちの従業員だと知れたらまずいから外では初対面のフリしてるんだが、ここぞとばかりに胸を押し付けてくるのはやめなさい。
お姉さん、女と寝る趣味は持ち合わせてないのよ。

あ、マッシュ達戻ってきたけどカイエンが私の隣にいるメリー見て赤面してる。
それに気付いたメリーも彼をからかう為にカイエンの腕に絡みに行った。

メリー怖い。
キャンディとはまた違った怖さがあるぞ。

「ねぇ〜お兄さん。私と一緒に飲まない?うっふ〜ん」
「な、な、な、なにをふしだらな!そこになおれ!」
「お堅い事なしよ。楽しもうよ。ほら、タニマ」
「た、た、たたタニマ〜?!」

倒れそうなカイエンを放ってこっち側に来るマッシュとガウ。
ガウに至ってはまだよくわかってないからさっき出された摘まみをあげといた。
君は花より団子だものね。
カイエンの奥さん、苦労しただろうに……いろんな意味で。
エドガーと足して割ったらいいんじゃないか?

「カイエンさん、免疫なさそうだからね」
「ほら、役得だと思いなよ」
「お、お主らは平気なのか?」
「禁欲生活長かったからねぇ。これも修行の賜物って事」
「でも般若湯は飲むんだね……私、これでも女なんだけどな、カイエン……」

てか、同性の身体見てプロポーションいいなとか綺麗な肌してるなとかは思うけど、欲情した瞬間首吊ろうとも思ってる。
それ以前に女しかいないあの店を経営できなくなるだろ。
臍出しは普通だし、ランジェリー透けて見える子とか露出率が80%の子とか余裕だし。
いや、普通の子もいるからね。

「ごちゃごちゃ言ってないで。ねぇ〜」
「こ、コラ。お主。女子と言うのはな。恥じらいと慎みを持ってじゃな……etc.」





「……でもカイエンだってやることやってたんだろ?」
「こら、そういうこと言うんじゃないぞ」

メリーもメリーでカイエンの説教を面白がってる。
つまらなくなってきてるガウの為にチョリソー頼んで、完食したのにも拘わらず未だにブツブツ言うカイエンに私が正論を述べればマッシュに軽く殴られた。
コツンッって感じで。

さて、集合したことだしサウスフィガロに向かおう。
黒毛玉、間違って捨てられてなければいいけど……

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