ハンター試験を受けようと思ったのは、名前も知らないある人を探すため。


A person one yearns for #01


ああ、もう!
まだ着かないの?
どれだけ降りるのよ!

目の前には美味しそうなお肉。

ここじゃ焦っても仕方がないから食べちゃおう。
半分やけ食いだ。

「あ、美味しい」

私は今、エレベータに乗っている。
地下10、20、30…50になってもまだ着かない。
そもそも地下ってこんな深くいけるものなのかな?

私が焦っているのには理由がある。

「お嬢ちゃん、もうハンター試験は始まってるよ。今年は諦めな」

さっき店主に言われた言葉。
冗談じゃない。
はるばるここまで試験受けにきたっていうのに。

ダメ元でってことでお願いして、会場まで向かっているところだ。

まだ着かない…。
よし、野菜も焼いて食べよう。

「なんだかなぁ」

私は何をしているんだろう。
試験に遅刻して、何故か焼肉を食べてて。

やる気が見事に削がれてしまった。



チン



やっと着いた。
B100Fって…地下掘りすぎだよ。

開かれた道は、トンネルを何倍にもしたようなところだった。
先は暗くてよく見えない。

「おや?」

入口には豆っぽい人が立っていた。
人なのかな、この人。ドキドキ。

「もう試験は始まりましたので…申し訳ございませんが、お引き取りください」

カゴにたくさんの番号のついたバッジ。
この人、関係者かな?

「あの、始まってどれくらいですか?」

「ちょうど1時間ぐらいですね」

この人、1時間も何してるんだろうか。
疑問には思ったが口には出さない。
そんなことより。

「どうしても今年受けたいんです」

「どうしてもですか?」

「はい!」

見つめ合うこと、5秒くらい。

「遅れた場合は試験内容も聞かされませんが…それでもよろしいですか?」

なにをすればよいのかはすぐにわかった。

「それでもいいです」

バッジを受け取って、私は走り出した。

誰ひとりいない会場、入口はエレベータ、道はただ1つ。
皆がどこへいったのかなんて、わかりきっている。

追いつけるかなぁ…。
いや、追いつかなきゃ。

走り始めてすぐ、地面には血痕が飛び散っていた。
こんなスタート地点で何故…。

バッジは58番…たった60弱数名しか受けてないのかな。
ハンター試験ってあんまり人気ないのか?
それとも番号はランダムだろうか。











……孤独だ。

もう、2時間は走っている。
でも誰ひとりいない。

まさか、隠し扉があるなんてこと、ないよね?

不安が募る。
もう少し、スピードあげるかな。









時計も持ってないし、外じゃないから太陽も見えない。
正直、何時間走ったかもわからない。

ん?
ようやくなにか見えてきた。
どうやら人のようだ。
脱落者かな。
人がいたことにホッとした。

「あの、試験ってこのまま真っ直ぐでいいんですよね?」

話しかけても、反応はない。
なんだか容姿が乱れている。

ほんのちょっと前にパソコンが落ちていた。
パソコン落としてショックでやめたのかな?
まさかね…。

「……」

精神的に再起不能な感じだったので、とりあえず無視することにした。

すぐ先、やっとというか…あまり嬉しくないが景色が変わった。
ここまで走らせといて先が見えない階段だなんて…精神的に酷い造りだ。
これもハンター試験の一環だろうか。

深呼吸を1つ。

私は数段飛ばしで駆け上がった。

だんだん、倒れている人が多くなってきた。
上になるにつれて、まだ息があがっている人もいた。

よし、追いつけそう。






数人の人影と、光。

出口だ!



と安心したのもつかの間。
人影がなくなると、今度は光までもが失われていく。

やばい。シャッターだ。

瞬時に私は足に力を込めた。



心臓に悪いよ、この試験…。

ギリギリ間に合ったが、勢いあまって行きすぎてしまった。
どうやら出口の近くにいた人達は、私が通り抜けたことにも気づいていない。

数名には気付かれたみたいだけど。

視線を向けてきたのは、試験官と…44番と301番ぐらいかな。
301番からは表情は読めないし、っていうか気持ち悪い…。
44番もこれまた変。ピエロかな?
笑顔がとても怖いんですけど。

とりあえず、合流おめでとう、私。


(ていうかこれ、300人以上はいるんじゃない…?)





-------------------
2012.06.11 絡みなしの変換なし!ゴメンナサイ!

[ 1/16 ]

[*prev] [next#]
[list]



[Top]


「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -