ハンター試験を受けようと思ったのは、名前も知らないある人を探すため。
ああ、もう!
まだ着かないの?
どれだけ降りるのよ!
目の前には美味しそうなお肉。
ここじゃ焦っても仕方がないから食べちゃおう。
半分やけ食いだ。
「あ、美味しい」
私は今、エレベータに乗っている。
地下10、20、30…50になってもまだ着かない。
そもそも地下ってこんな深くいけるものなのかな?
私が焦っているのには理由がある。
「お嬢ちゃん、もうハンター試験は始まってるよ。今年は諦めな」
さっき店主に言われた言葉。
冗談じゃない。
はるばるここまで試験受けにきたっていうのに。
ダメ元でってことでお願いして、会場まで向かっているところだ。
まだ着かない…。
よし、野菜も焼いて食べよう。
「なんだかなぁ」
私は何をしているんだろう。
試験に遅刻して、何故か焼肉を食べてて。
やる気が見事に削がれてしまった。
チン
やっと着いた。
B100Fって…地下掘りすぎだよ。
開かれた道は、トンネルを何倍にもしたようなところだった。
先は暗くてよく見えない。
「おや?」
入口には豆っぽい人が立っていた。
人なのかな、この人。ドキドキ。
「もう試験は始まりましたので…申し訳ございませんが、お引き取りください」
カゴにたくさんの番号のついたバッジ。
この人、関係者かな?
「あの、始まってどれくらいですか?」
「ちょうど1時間ぐらいですね」
この人、1時間も何してるんだろうか。
疑問には思ったが口には出さない。
そんなことより。
「どうしても今年受けたいんです」
「どうしてもですか?」
「はい!」
見つめ合うこと、5秒くらい。
「遅れた場合は試験内容も聞かされませんが…それでもよろしいですか?」
なにをすればよいのかはすぐにわかった。
「それでもいいです」
バッジを受け取って、私は走り出した。
誰ひとりいない会場、入口はエレベータ、道はただ1つ。
皆がどこへいったのかなんて、わかりきっている。
追いつけるかなぁ…。
いや、追いつかなきゃ。
走り始めてすぐ、地面には血痕が飛び散っていた。
こんなスタート地点で何故…。
バッジは58番…たった60弱数名しか受けてないのかな。
ハンター試験ってあんまり人気ないのか?
それとも番号はランダムだろうか。
……孤独だ。
もう、2時間は走っている。
でも誰ひとりいない。
まさか、隠し扉があるなんてこと、ないよね?
不安が募る。
もう少し、スピードあげるかな。
時計も持ってないし、外じゃないから太陽も見えない。
正直、何時間走ったかもわからない。
ん?
ようやくなにか見えてきた。
どうやら人のようだ。
脱落者かな。
人がいたことにホッとした。
「あの、試験ってこのまま真っ直ぐでいいんですよね?」
話しかけても、反応はない。
なんだか容姿が乱れている。
ほんのちょっと前にパソコンが落ちていた。
パソコン落としてショックでやめたのかな?
まさかね…。
「……」
精神的に再起不能な感じだったので、とりあえず無視することにした。
すぐ先、やっとというか…あまり嬉しくないが景色が変わった。
ここまで走らせといて先が見えない階段だなんて…精神的に酷い造りだ。
これもハンター試験の一環だろうか。
深呼吸を1つ。
私は数段飛ばしで駆け上がった。
だんだん、倒れている人が多くなってきた。
上になるにつれて、まだ息があがっている人もいた。
よし、追いつけそう。
数人の人影と、光。
出口だ!
と安心したのもつかの間。
人影がなくなると、今度は光までもが失われていく。
やばい。シャッターだ。
瞬時に私は足に力を込めた。
心臓に悪いよ、この試験…。
ギリギリ間に合ったが、勢いあまって行きすぎてしまった。
どうやら出口の近くにいた人達は、私が通り抜けたことにも気づいていない。
数名には気付かれたみたいだけど。
視線を向けてきたのは、試験官と…44番と301番ぐらいかな。
301番からは表情は読めないし、っていうか気持ち悪い…。
44番もこれまた変。ピエロかな?
笑顔がとても怖いんですけど。
とりあえず、合流おめでとう、私。
(ていうかこれ、300人以上はいるんじゃない…?)
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2012.06.11 絡みなしの変換なし!ゴメンナサイ!
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