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 朝。

 起き上がって身支度を整え、朝食もそこそこに家を出た。

 近距離とは言え満員電車は面倒以外の何物でもない。イヤホンから流れる音楽で心を癒しながら、無事に目的の駅で電車を降りる。

 見慣れた景色はいつもと変わらず、意識せずとも足は目的地へと向かっていく。

 教室にたどり着き、友人と挨拶を交わす。今日の英単語の小テストの話、部活の話、とりとめのない日常会話。英語の単語帳を眺めながら、イタリア語を思い浮かべる。実はユノに先日手紙を送ったのだが、返事がまだ来ていないので、少々寂しい。

「朝礼するぞ」

 教室に入ってきた教師の一声で意識を現実に引き戻す。点呼が行われたが、早々に返事をしたゆえに終わりまでが長い。そろそろ飽きてきたなあとうとうとする頃にちょうど点呼は終わり、教師がいつもの様に連絡事項を告げる。

「今日の連絡事項だが――――転入生を紹介する。入ってきたまえ」

 その声に意識が覚醒する。教室がざわめく中、ただ転入生を見た。

 黒板の前へ立った転入生は女子生徒。日本人に近い顔立ちだが少し違う雰囲気のあるその顔は、目元に痣をつければ大空のアルコバレーノとそっくりになる。セミロングの髪だって、それを束ねる星の髪飾りだって、見覚えが無ければ反応しない。

「宮間柚乃です。どうぞよろしく」

 普通になった彼女は、そう言って微笑んだ。




解き放たれたその日から