いざよふ

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諸君仲違えど
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「アンタ、何やってたんでぃ……」

大晦日の静かな病室で沖田は怒りを露にして一言呟いた。
ベッドに横たわる真撰組局長は体の至る所に包帯を巻き、こんこんと眠っている。
傍らに座る土方は煙草を取り出そうとして、包帯だらけのその手を止める。
沖田が土方に向ける怒りは、彼自身が強く感じている憤りと掛け合わせ土方の身を震わす。
沖田の握った拳は力を込めすぎて、短いはずの爪がぎりぎりと掌に食い込み血を滲ませる。

「沖田隊長!そんなに責めないで下さい!!相手が投げた爆弾なんて対処できません」

そう土方を庇う山崎も顔に貼られたガーゼが痛々しい。
今年最後の真撰組の大仕事と、旅籠に籠城する攘夷志士達を追い詰めたまでは良かったのだ。
あらゆる出口を封鎖され真撰組の突撃を許し逃げ道を失った志士達は、旅籠の屋上から指令を飛ばしていたパトカー目掛けて爆弾を投げつけた。
そこには近藤と無線で指令を飛ばしていた土方、そして内部調査を報告していた山崎がいた。

「言い訳はそれだけですかぃ?」

隠さない怒りをのせず涼やかな声で沖田は二人を責め立てる。
テメー等が軽傷でなんで近藤さんが重症なのだと、沖田は言っているのだ。
大将を守れなかったら自分達の意味などないのだ。
自分が身を挺して近藤さんを庇わなかったから……。
突撃せずにあの場所にいれば……。
あの時、いち早く志士の動向に気付いていれば……。
三者三様にこの場に居合わせている全員が自分自身を責め立てる。
重い沈黙が無機質な病室にたゆたう。
無音の病室に喋りだしたのは意外な人物だった。
医者には下手をすれば、ずっと昏睡状態になると告げられていたのだから。

「…よ…さねぇ……か」

三人が口々に真撰組局長を呼ぶと巨躯の男は痛々しくも笑った。
麻酔が切れて身体中の痛みに顔を歪めながら近藤は口を開く。

「お前……等が、喧嘩……して……ちゃあ、お…ちおち地獄にも、い……けたもんじゃねぇ。ら…い……ねんも、よろ……しくな」

弱々しくもいつもの真撰組局長を前にして、三人は涙を堪えた。







有刺クレマチスのむらさきさんからサイトが一万hitした記念でリクエストさせてもらっちゃいました。
もう素敵すぎます!ピリピリしてる3人とか、ラストのかっこいい近藤さんとか!もうゴリラなんて呼べない。次からはGORILLAと呼びます(笑)

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