いざよふ

http://nanos.jp/izayou/
ごったに


3、4年前にtwitterで書いた詩とか都々逸とか。二次と一次ごっちゃ。最近のも微妙に入ってます。




【都々逸】
連れて行ってと せがんだ君に 今さら逝くなと 言えぬ夜(ミツバ編)


さよならと せめて一言 言いたかったと 墓の前でこぼす朝(攘夷)


大好きでした 大好きですと 温もり通じて 思い込め


あなたに出会えて幸運でした いつか胸張り伝えたい


思い出話に花を咲かせて 帰る道々 ひとり泣く


その手に触れて 肩引き寄せて 流れる涙は 飲み込んで


ありがとうの言葉じゃ足りぬ 変わりの言葉も 見つからぬ


伝えたいこと 山ほど喉に つまって上手く 紡げない


毎日逢うたら心がもたぬ たまの逢瀬が愛おしや


寒さ耐えかね 吐く息白く 君の温もり 恋しがり


寒さ耐えかね 吐く息白く 恋しく思うは 君の肌


お前のことが憎くてならぬ 二度と逢えない癪な人


恨み辛みを聞いておくれよ 最後はノロケで閉めるから


惚れた腫れたとのたまう主に 八重山吹を渡す君
※八重山吹は実がならない。実らない恋の象徴


人の形を真似して踊る 人でなしの虚しさよ


紅葉散る日に見上げた空は 時を見紛う茜色




【SS】
子どもの頃、世界は僕に優しくないと思えた。
だから今、僕は子ども(きみ)たちに伝えたいことがある。
たとえ世界が優しくなくても、優しい人は存在するよ、と。





子どもの頃はどこへだって行けた
倒れた巨木は宇宙船で
落ちてた棒は銘刀で
日が暮れるまで宇宙を旅できた

いつからだろう
何処にも行けなくなったのは





紺碧の空に千切れ雲が連なり浮かぶ。雲の後ろから差し込む光が黄金色に輝き、まるで一つの絵画のようだ。
だが、その美しい空に何か違和感を覚えた。見ていると無性に不安を煽る違和感の正体を探るため、私は目を凝らして空を見つめた。
「ああ、そうか」
その空は雲が全く動いていなかった。誰もいない部屋で、何もない部屋で、何者でもない僕は立ち尽くす。誰もいないはずなのに、僕はそこに立っている





空に瞬く星達は、雲が手を廣げて隠してしまつた。此の暗い路を照らす灯りは一つとして無い。家々からは楽しさうな笑ひ聲が聴こえてゐる。私はたつた一人で此の暗い暗い路をもうひたすら歩ゐた。しかし他の誰にも逢えぬのだ。嗚呼誰か、僕を愛して呉れ!私は今日も暗い路を歩む。





朝目が覚めると、玄関に包みが置いてあった。そこには誰の姿もない。
これを届けるために、彼はどれだけ辛い思いをしただろう。転んで足を汚して、挙げ句に弾みで携帯もなくして。それでも帰ってきてくれたんだね。
初めてのお使い、お疲れ様。今はゆっくりと宇宙でおやすみ。お帰りなさい、はやぶさ。
小惑星探査機『はやぶさ』





【ガトリングガン】
武器ならいくらでも見てきた。太刀、脇差し、弓矢、鉄砲、大砲、ミニエー銃……。「こいつぁ反則だろう」
使いこなす技量など関係ない。たった一度ハンドルを回しただけで簡単に人が死んでいく。
「これからの戦争に、個人(兵士)なんていらねえのかもな」
頭上では弾丸が雨あられと降り注いでいた。





同題SS『雨』
毎日顔を合わせ、一緒に食事をし、ベッドを共にすることも稀にある。あなたの存在が生活に馴染んでいく。仕草や食べ物の好み、コメディで笑うタイミング。そういうものが雨のように降り注いで、僕を浸食していく。嗚呼、息が止まりそうなくらい。

 
×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -